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ブラジル映画「汚れた心」見てきました


ブラジル日系人社会において、最もタブーとされていたと言われる終戦後の「勝ち組・負け組」の問題。
これを正面からストレートにとらえて映画化したのが、「汚れた心」



勝ち組・負け組とは、簡単には説明できない深い問題なのだけれども、
第二次世界大戦後、日本の敗戦が発表されてもなお、日本は勝ったのだと信じて疑わない「勝ち組」日本人が、冷静に敗戦を受け止めた「負け組」日本人を、殺し、傷つけ合った事件。
日本から遠く離れたブラジル、そして通信事情が今とは全く違って、入ってくる情報がすべて正しいとも思えない状況。
そして、ブラジルから日本は敵国扱いされ、日本語を禁止され、日章旗を掲げることも禁止された、精神的にも激しく抑圧されている状況。
いろんなことが重なって、同胞が同胞を殺すと言う、最悪の事態に発展してしまったという…



原題はCorações Sujos(コラソィンス・スージョス)。邦題はこれを直訳したもの。
ブラジル人のジャーナリストが取材して書いた本なんだけれども、これね、ブラジル在住時に書店をウロウロしていた時、たまたま見つけた本でね。ポルトガル語で書かれたドキュメンタリーということ、しかも当時私が所属していた女性の会「ブラジルを知る会」でも少し勉強した「勝ち組・負け組」の話だということで、迷わず購入。
そして、なんとかポル語を全部読破するぞ〜と試みたのだが、途中で挫折しちゃったのだった。とほほ。



まさかこの本が映画化されるなんて…
映画化の話は、去年の暮れくらいにネットニュースで知っていたけれど、上映がいつからなのか書いてなかったんだよね。
まぁ、いつかどこかで見られればいいなぁ、と思っていたら、日本に帰国して少し経った7月頃から、東京や横浜で上映が始まっていたのでした。
そして、行こう行こうと思っていながらなかなか行けなくて。気付いたらもう8月31日!東京と横浜では今日が最終日ではないかっ!



ということで、慌てて行って来ました。
横浜のミニシアター、ジャックアンドベティという名の映画館に。
ミニシアターだし、もう最終週なので、一日一回、11:50からの上映のみ。間に合ってよかった〜



さてこの作品、感想は…と言いますと、うーん、そうだねぇ、いろいろと考えさせられる作品よね。
話の流れはわかっていたので(まさに、勝ち組・負け組闘争をそのままに描いているから)、私としては、物語の背景とか俳優さんたちとか、日本語とポルトガル語のコンビネーションとか、そういうところに目が行き…
豪華キャスト陣(奥田瑛二伊原剛志常盤貴子余貴美子などなど)が、それぞれ素晴らしい演技を見せてくれていて、映画として大変見ごたえがありました。
俳優さんたち、ポルトガル語をどうやって操るのかな〜と思っていたら、日系社会の話だもんね、ほとんど日本語でした。
あれって、ブラジル上映の時は、日本語セリフにはポル語字幕が入るのかなぁ?いや、吹き替えかな?


ブラジルの、当時の風景も、とてもよく再現されていたと思うし。映像としてキレイだった。
その一方で、日本人同士が殺し合う数々のシーンは、やっぱり見ていてキツイものがあるね…
いわゆる殺人…怨恨とか金目当てとか誰でも良かったとか…とは違う、心のありかた、信条の違いがもとになった殺し合いであって、この感情は、当時の当事者たちにしか絶対理解できない深く激しい感情だと思うのだけれど。
戦争というものが、直接的にではなく、間接的にこうやって人と人とを傷付け合わせるものなのだ…ということを、改めて教えてくれるような。そんな作品に映りました。私には。



勝ち組・負け組の話は、日系人であれば誰もが避けて通りたい忌まわしい話題だし、それは当然だと思う。
そこにブラジル人ジャーナリストが入り取材をし、ブラジル人映画監督が映画化した。
うん、この映画、やっぱりブラジル人じゃなきゃ撮れないかも…と思う。
演じた俳優さんたちも、きっと、すごく難しかったんじゃないかなぁ、と思う。
けど、苦悩の表情を、よく表現していたなぁ。特に伊原さん。辛い役回りだったねぇ。



残念ながら、東京と横浜では8月31日が最後のようだけれど、
首都圏であれば、千葉劇場で9月8日から、
静岡シネマギャラリーでは9月15日、テアトル梅田は今日から…という具合に、地方都市ではこれからのところもあるみたいです。



ご興味がある方はぜひ。
オススメです。