街にディズニーパレードがやって来た
少し前から、いつも通る海沿いのメイン道路に、
「Parada Disney」「Nestle」なる青い看板が、でかでかと延々といくつも立ち並んでいた。
ん?ディズニーパレード???
まさかサルヴァドールにミッキーやらミニーのパレードが来るわけないよね???
来るとしたら、なんで???
と、頭の中は疑問符だらけだったんですが。
実際にパレードがやって来たんですよ、本物のディズニーランドにいるようなミッキーやらミニーやらが登場するパレードが!
(ちなみに、ご存知の通り、ブラジルにはディズニーランドはありません。ミッキーに会うためには、高いお金をかけてアメリカのフロリダ州オーランドまで行かなきゃ無理。だけどミッキーなどのディズニーグッズはこちらの子どもたちにも大人気)
1週間ほど前に、サイトで詳しい情報を確認した。
詳しいったって、おおまかな開催場所と開始時間くらいしか書いてないんだけど。
何といっても「無料」のディズニーパレードなので、そりゃもう、ものすごい人出が予想されるわけで…
サイトには、「開始2時間前には会場に着くことをおすすめします」と書いてあるよ。
確かに。
「無料」の子どもイベントに、どれだけの人が集まるか。
日曜日の午前10時半に。
ちょっと考えたら、いや、考えなくても、末恐ろしい人の数が予想できるでしょうよ…。
さて、当日は朝から雨。
こりゃ…パレード大丈夫かなぁ…。雨降ってもやるんだろうけど、雨の中2時間も前から立って待ちたくないなぁ…
っていうか、そこまでしてディズニーパレード見なくてもいいし。
天気が良ければ、サイトのお勧め通りに2時間前に会場でスタンバイもアリだったけど、結局、雨がやむのを待ってからの出発にした。
幸い、会場のJardim de Alaは、我が家から徒歩30分程度。
雨がやんだのは開始30分ちょっと前だったけど、ギリギリ間に合うかな?ってことで、一同、てくてくと歩きだしました。
いでたちはもちろんカルナヴァルスタイル。つまり手ぶら、足元はスニーカー、日焼け止めを塗って帽子をかぶって。なんたってカルナヴァル並みの人出になることは容易に想像できますから…
しつこいけど、なんたって「無料」なのでね。
家を一歩出てみると、我が家からすぐのバス停で下車する家族連れの姿が多いことにビックリ!
こんな遠くでバス降りちゃっていいの?
もっと近くにもバス停あるよ???
でも、歩きだしてみて、会場に向かい始めてみてわかった。
会場近くは、もう、ものすごい渋滞。
バスは激混み。
会場は、海沿いの幹線道路を通行止めにして作ったもの。一車線をパレードルート、もう一車線を観覧所にしている。
とりあえずスタート地点の「INICIO」の看板を目指すも、まさにカルナヴァル状態で、前に進めないほどの人ごみ。しかもほとんどみんな子連れだよ。
そりゃそうだ、ディズニーイベントだもん。
子どもを含むカルナヴァル状態…なんとも恐ろしいことよ…。
アレックスは激しい人ごみの中では抱っこで移動。重いけど仕方ない、歩かせるのは危ないもの。
で、なんとかパレード開始時間を5分ほど過ぎた頃には、スタート地点に到着。ふぅ、間に合った。
しかし、いざパレードが始まっても、全然見えないんですけど…。
大人の私の身長で背伸びして、やっと、キャラクターの頭が見えるかどうか…。
かろうじてトイストーリーのキャラが見えた!高いクレーンみたいなのに乗っているから!
階段状の座席になっているわけでもなく、パレードルートが高い位置にあるわけでもないから、はっきり言って、最前列付近にいる人しかパレードは見えないのよね。
付近の壁や店舗によじのぼり、少しでも高みから見物しようとする人たちも多々…。
アレックスは肩車でなんとかキャラクターを確認…
通常の肩車では高さが足りないため、おいおい、組体操か雑技団か?って感じで、お父さんの肩に足の裏を付けて立つ幼児の姿も多々…。
パレードに登場するキャラとかプリンセーザ(お姫様)たちは、まさにディズニーランドと一緒で、本物だった。
シンデレラがポル語で「みなさんにお会いできてうれしいわ♪」と言ってて、ブラジル人たちは大喜びしてた。
最前列で間近に見ている(全体からみると非常に少数派の)子供たちの目は、キラキラ輝いていた…
最後はミッキーやミニー、プルート、チップとデールの乗った家の形の山車。なんか、ものすごいスピードで駆け抜けていって、ちょっとこれはパレードと呼べるのか?コヒーダ(競争)じゃないのか?って状態でしたが…
しかも山車がどれもこれも小さすぎ。高さが全然足りない。
せっかくカルナヴァルのトリオ(巨大トレーラー型舞台)がある街なんだから、それを借りて、その上にキャラクターを乗せるくらいの勢いが欲しかったよ!!!
結局、45分間と言われていたパレードは、確かに45分間で終わった。あっという間に。
あんなに苦労して人ごみを抜けて見に来た割には、え、これだけですか?って感じ。
でも、私たちはまだ見れただけでも良かったのだ。たとえキャラクターの頭だけであっても、その時間に、その場にちゃんといられたことは、ラッキーなことだったのだ。
というのは、この日、パレード見物を目指す人たちの車で、市内の各幹線道路は大渋滞していて、やっとの思いで会場に着いたらもうとっくにパレードは終わっていた…という人が山ほどいたんだそうだ。
確かに会場周辺は大渋滞だったけど、それ以外の、パラレラとかイグアテミ付近とかの幹線道路も、そりゃもうすごい状態だったんですって。ウェブ上で地元新聞A Tardeの記事を読むと、私の想像をはるかに超える交通麻痺が起こっていたみたい。
同時に、そのウェブ上では、読者の声がいくつも投稿されていたけれど、どれも納得できるものだった。
「家を9時に出たのに、会場に着いたのはお昼だった。交通整理をもっとしっかりしないとダメじゃないか!」
「バイーアの人は時間通りに行動しない。開始予定時刻より遅れて始まるのが普通で、それに慣れているから、今回、定刻だったために見逃してしまった」
「子どもの行事ごときでこれだったら、ワールドカップなんてどうするの!市や主催者の対応が恥ずかしすぎ」
「なんで海辺の道路を会場にするの?カーニバル会場である市内中心部を使うほうが渋滞回避にも便利だし、慣れてるでしょ。場所選定ミスもはなはだしい」
「前の晩から期待して楽しみにしていた子どもたちに、一つもパレードを見せてやれなかった。事前情報が少なすぎた。悔しい」
などなどなど…。
我が家も、会場の近くに住んでいたから見に行く気になったけど、遠かったらどうだっただろう…。
でも、無料のディズニーイベントだもの。しつこいけど無料だもの、遠くに住む貧しい親子たちなら、なんとしても見に来たいと思う。ただでさえ娯楽が少ないサルヴァドールだもの、無料でミッキーに会えるなんてチャンス、誰だって有効利用したいと思うよ。
そして、実際に遠くから見に来ようとした貧しい親子たちは、本当に気の毒なことに、ぎゅうぎゅう詰めのバス(蒸し暑い)で、開始時間をはるかに過ぎたころに到着し、帰りはまたぎゅうぎゅう詰めのバスに耐え…
夢のイベントどころか、単に移動の苦痛を味わっただけの一日になってしまったわけ。
なんかこう、もっと事前に、うまいこと出来なかったのかなぁ…とすごく思う。
ちなみにこのイベントは、ネスレ社を宣伝するためのイベント。サルヴァドール市とタイアップしているとは言え、ネスレ1社でディズニーを呼び、市内の幹線道路を通行止めにし、これだけの人を巻き込んだってことは、ものすごいことだと思う。一体、ディズニーにいくら払ったんだ?
会場では社名入りうちわとか、ミッキーの耳型のかぶりものなどを盛んに配り、会場をネスレ一色に染めていたから、イベントの訴求効果はそりゃもう絶大だったと思うけれど…
(便乗して、地元のメガネメーカーなど、他社も社名入りグッズやビラを配ってアピールしてましたけど)
パレードなんて興味がないのに、大渋滞に巻き込まれてしまった市民。
行きたかったのに大渋滞のために行けなかった親子。
そういう人たちにとって、はたしてネスレのイメージは、どうなっちゃうだろう…。
と、ふと思ってしまいました。
パレード終了後、会場付近のゴミ拾いに精を出す子どもたち。いいねぇ、街をきれいに♪
…と思ったら、これはミッキーの家から吹き出てきた、ミッキー型の紙吹雪なのでした。それを記念に持ち帰ろうってことで一生懸命拾っているの。
恐るべし、ディズニー人気です。