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Festa de Iemanjá、海の女神イエマンジャの祭り


2月2日は、サルヴァドールの街にたいへんゆかりのある、海の女神Iemanjá(イエマンジャ)をあがめるお祭り。


サルヴァドールの夏の一大イベントでもある。
なのに、私はそのことを昨日まですっかり忘れていて、あやうく今年も行きそびれるところだった。
昨日の夜、たまたま会場付近を通った時、いやに道路が渋滞していて、どう見てもいつもとは様子が違ったのだ。歩道には花売りがずいぶん出ていたし。
そういやぁ今日は2月1日か、確か2月の頭にイエマンジャのお祭りだったよなぁ…って、ふと思い出したのよ。


イエマンジャとは、カンドンブレ(アフリカ由来の一種の宗教で、バイーア独特のもの)の神々の一人であり、白と水色がシンボルカラーの「海と漁業」の神様。
海と漁業はサルヴァドールにとって非常に大切なもの、なんたって海に面した街だもの。
ということで、ふだんからイエマンジャ様は市民にとって大変ありがたい存在なのであり、バイーアの海と人々の守り神のように親しまれている。
Rio Vermelho(ヒオ・ベルメーリョ)という地区の海沿いには、Casa da Iemanjá(イエマンジャの家)なる小さな建物まである。お社のようなもの。




そして年に一度の2月2日は、このイエマンジャの家付近がものすごい人で埋め尽くされるのだ。その様子は、朝から全国にテレビ中継されるほど…
で、私も初めて足を運んでみました。ひとりで一眼レフを持って記者気分で。


10時前に着いたら、もうすでに人・人・人。
それぞれの手に、カラフルなバラの花を持って、ものすごく長い行列を作っている。
ものすごく暑い炎天下に、ものすごく長い行列…。軽く500メートルはありそうな行列…。明治神宮の初詣かと思ったよ…(さすがにそこまでは。)




その列の先には、イエマンジャ様のお社がある。お社だけでは足りないから、特設テントが設けられ、そこにお花や贈り物を奉納するようになっていた。





お供え物として花というのはわかるけど、この女神さま、vaidosa(直訳すると見栄っ張り)、要するにおしゃれに気を使うタイプの女性なんだそうで、香水とか鏡などといった女子力アップ系のグッズがお供えの定番なのだそう。興味深いですねぇ…。


行列にいたおばさんに、ご自慢の手作りお供えバスケットを見せてもらいましたよ。手鏡やカチューシャやリボンが入っていました。これは喜ばれそうなセレクションですねぇ。家族の平和を祈りに来たと言っていました。



こちらのおばさんのは、リカちゃん人形風?




こちらはフランス人形風…?思い思いにイエマンジャ様を具現化しておりますなぁ。




そうこうしているうちに、何やら向こうの方で、カルナヴァルばりの大音量がトリオ(移動型ライブステージ風トレーラー)の上から聞こえてきた…。
バイーアの人気アシェバンド、PSIRICO(ピシリコ)がパレードを始めたのだ。トリオの後ろの群衆には、カルナヴァルみたいにちゃんとロープで囲われたエリアもあって(でも無料だけど)、まぁまぁ賑やかなこと!


良く見ると、トリオの真後ろにバイアーナドレスのおばさんたちが花を持って歩いていたり。



バンドのボーカルはトレーラーの上ではなく、トリオ真後ろの地面で歩きながら歌ってたり。




やっぱりイエマンジャ祭りならではなのかしらね、こういうスタイルのピシリコライブって。なんかとても楽しくて、地元密着っぽくて、いい感じ!



別の通りでは、地元のパーカッショングループが元気に練り歩いていました。シマケンさんやなおやさんのグループも、確かここで叩くはず…と思いつつ、どこで何時からか不明だったので見つけきれませんでしたが。




カポエイラのホーダ(実演)もあちこちで行われていましたよ。去年はgentilちゃんたち日本人カポエイリスタのみなさんも、この日、ここに参加していたんだなぁ…と思いを馳せつつ眺めていました。




それにしてもあまりに暑い。うっかり帽子を家に忘れた私は、もう、常に日影をみつけてフラフラさまよってた。
そして今日は妙に帽子売りが多かった。路面に帽子を置いて売る者、うずたかく積んだものを抱きかかえて歩きながら売る者、現地で草で帽子を編みながらの実演販売者…スタイルはいろいろ。
で、あまりの暑さに私も一番安いのを買っちゃった。シンプルなベージュのわら帽子、5レアル(250円)なり。これで多少は元気が出た。
さらに冷えた50円ビール(R$1の、確か銘柄はBavaria)で喉をうるおし、さて取材後半戦スタート!


路上のライブとは違う雰囲気で盛り上がっている海辺に下りてみた。




これがまた興味深いことだらけでビックリ!
海辺から小舟がいくつも沖に向かって進んでいるんだけど…これは何事?


近寄ると、イエマンジャ様への贈り物をかかえた人々が、次々に小舟に乗り込んでいる。どうやら、海の中に奉納するらしい。もしかしてそっちのほうが、おやしろに奉納するよりも御利益があったりするのかなぁ?




ところでリオの年越しの時、同じように花を海に捧げていた人が多数いて…この調子で今日もこれだけの人が海に花を入れちゃったら、海がどんだけ汚染されるのよ!!と心配したたけど、海の中にそれほど花はなかった。
お社と、特設テントに奉納しているらしい。良かった良かった。



岩場の穴には、シンボルカラーの水色のろうそくがいくつも灯されている。




そして、岩場のふちに、美しく彩られた魚料理が並んでいる…。これもまた、海の女神様へのお供えものなんでしょう。
その向こうでは、生き神様のようなかっぷくのいいバイアーナ女性が、信者とおぼしき女性を抱きしめ、海水やら香水やらを女性にふりかけ、お祓いをしていた。ここにも小さな行列が出来ていた。





単なる海水浴状態…?という人たちもいたけれど。おばちゃん、白いドレスのまま波打ち際に座り込んでるけど、い、いいんですかね?



砂浜では、あちこちで、いくつものカンドンブレのグループが太鼓を叩いて輪になって踊っていた。
それぞれ中心に、それぞれ味わい深いイエマンジャ様の像をたてまつって。




賑やかで華やかなお祭りだけど、こういうピュアな神聖さがあるって、いい文化だなぁ。



ブラジルはキリスト教徒がほとんどを占める国(しかもカトリックが多いらしい)だけど、ここバイーアでは、カンドンブレがより強く住民の間に根付いているような気がする。サンタ・バーバラのお祭り(11月の記事参照)とか、ボンフィン祭り(去年の1月の記事参照)といったカンドンブレの神様を祝う祭りが、どれも非常に重きをおかれて行われているからね。
そして今回、現場で間近に人々の様子を見て、あぁなんて清らかで純粋な人々なんだろう、バイーアの人たちって…と思わずにいられなかったよ。
愛される女神、イエマンジャ様は、この街になくてはならない存在なんだな、と改めて…



イエマンジャ様といつでも共に!という方には、イエマンジャTシャツなども各種販売されておりますので、どうぞ。




(そういえばイエマンジャというバイーア料理の有名レストランがJardim Armaçãoにありますが、あそこはやっぱり美味しいと思います〜。名前負けしてません!)