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卒業おめでとう

赤ちゃんだったアレックスが、サルバドールの幼稚園の卒業式に出席し、立派に誓いの言葉を述べる日が来るなんて…。
感無量、であります。


ブラジルの多くの学校が、12月の頭からもう休みに入るのに対し、うちの子たちの学校はいずれも16日の金曜日が終業日。
でも日本みたいに「終業式」があるわけではなく、あっさりとしたもの。
まぁ、コイの学校は一応、毎年この日に「音楽発表会」があり、父兄の前で一応音楽らしきことを発表するのではありますが…
音楽発表と呼んでいいのかどうか微妙なレベルですが…
それは置いといて。


今年のアレックスの終業日は、いつもとちょっと違います。
5歳児組、G5(グルッポ・シンコ)としてこの1年を過ごしたアレックスたちは、来年からはブラジルの小学一年生。
つまり、今の今が、幼稚園生の卒業となるのです。
ブラジルの新学期は年明け(正確には年明けの2月ね。1月はまるまるお休みだから)に始まるのね。だから、12月が年度末、卒業のシーズンなのです。



夜の18時半、近くのホテル(とは名ばかりの、非常に質素な施設)の多目的室にて卒業式が行われました。
はい、もちろん、開始は19時過ぎです。学校行事、しかも卒業式という大事なシーンにおいても、定刻での開始は難しいのがブラジルであります…。
まぁ、卒業生が10人ちょっとの、いわばホームパーティみたいな規模の会なんですけどね。とてもカジュアルな雰囲気の。
それにしても10人ちょっとしかいないのに、遅れてくる子が何人もいて定刻開始出来ないって…。ブラジルだよなぁ、全く(笑)

白い服装に身を包んだ卒業生たち。どの子もまだまだ幼くて、まだまだ可愛い5〜6歳児。
いったいどんな卒業式になるのやら…と思ったら、これがなかなか本格的で。


まずは場外から、お母さんと手をつないだ卒業生が一人ずつ会場内に入場。お父さんやおじいちゃんおばあちゃん、それに兄弟たちの拍手を受けながら誇らしげに入場であります。



そしてステージに全員が並び、まずは国歌斉唱。といってもブラジル国歌は難しくて幼児には歌えるものではないので、国歌清聴、って感じ。



なぜか黄色いケープをかけられ、てるてる坊主風の姿になった卒業生たちは、続いてそれぞれの親から指輪を受け取るセレモニー。
幼稚園児が、なぜか、指輪…。
これは幼稚園であっせんしていた15レアル(700円)のおもちゃの指輪なんですけどね。なんとも誇らしげな子どもたちです。もちろんアレックスもホクホクの笑顔。
指輪なんて初めてだもんね。

それから一人ずつ机に向かい、卒業証書らしきものに自筆でサイン。
やっとアルファベットを覚えて、全員が最低限自分の名前は書けるようになったのね。よしよし。
アレックスもお兄ちゃんに見守られながら、ボールペンでバッチリALEXと記入。簡単なつづりの名前にしておいて良かったよ、ホント♪



自筆サイン入りの証書を手に、担任の先生と記念撮影したあとは、お待ちかねの「誓いの言葉」。
卒業生代表の3人が前に立ち、言葉を述べるのだ。
そしてなぜかアレックスがそのうちの一人に選ばれていたのだ。なぜだ…。



最初は女の子がスラスラと上手にマイクを持ってお話し、おおお!すごい!と思ったら…
次の男の子は先生が背後でサポート。
そしてアレックスも…もちろん先生のサポート付きで。
でもね、とても上手な発音で、家では聞いたことのないようなポル語の単語を使いながら、とても上手にお話出来て、母さん大感激ですよ。
アレックスは、ほとんど家ではポル語を話さないのよね。私があえてポル語で話しかけても、私とは日本語で話したがる。そこがコイとは違う点。
だから、幼稚園でみんなとちゃんと話が出来ているのか、はなはだ不安だったんだけれども、今日のこの場で堂々とポル語を話すアレックスを見て、やっと安心できましたよ…
うん、立派にポル語で学校生活を送れていたんだね。素晴らしい!


かなり感動のシーン…。
アレックスはここで、ブラジルで生まれて、ブラジルで育っているんだなぁ…と、なんだか感無量になり、もう泣きそう…



と思ったら、次は賑やかな踊りの時間になっちゃったよ。泣いている暇がないよ(笑)。
最初は担任の先生とチークダンス、そしてお母さんお父さんへとバトンタッチ…という流れで。
チークタイムのあとは、それこそ賑やかな子供たちだけの踊りになり、感動のムードは一気に急転換。ま、子どもたちはこんな風に元気いっぱいが一番だわね。

ところでアレックスは、この日で本当にこの幼稚園とはお別れなのだ。
小学部もあるから、このまま2月以降もここで過ごすお友達が大半なのだけれど、アレックスは1年生になったら違う学校へ移ることにしたのだ。
今のところでは敷地があまりに手狭すぎて小学生には物足りなさすぎる、とか、お勉強をもうちょっとしっかり教えてくれる学校がいいな、とか。いろいろと転校の理由はあるんだけれども。



でも、サルバドールに来てからの丸3年をここで過ごしたアレックス。お友達もたくさん出来た。
ほんとにね、ここでのお友達と一緒にいるときのアレックスが、何よりも楽しそうなのだ。誰といるより、どこにいるより。この幼稚園にいるアレックスの笑顔が最高なのだ。
そのくらい、大好きだったんだよね、ここが。
だから、サルバドールにいる限り、ここに通わせる方がいいのかな…最後まで大好きなお友達と一緒に過ごさせる方がいいのかな…とも思った。
非常に悩ましい選択。
でも、アレックスも納得の上で決めた転校。また新しいところで、頑張らなきゃね。



今日でお別れとなるお友達一人一人に、簡単なメッセージカードをアレックスから手渡した。
カードは私が夜なべして作ったものですが(笑)
お友達の中には、アレックスの転校を知って、家に帰ってからさめざめと泣いた女の子もいるんですって。
これからも仲良くしてね、と、連絡先を紙に書いて渡してくれるお母さんもいました。
アレックス、本当に良かったね。いい友達に恵まれて、楽しい幼稚園生活を送れて。本当に良かった…


思えば、サルバドールに来たばかりの私たち家族を、心から応援してくれて、何かと支えになってくれたのが、この幼稚園の存在だった。
親戚がだれもいないこの街で、私たちの環境を理解してくれ、「困ったらいつでも言ってね。学校がない日でもアレックスの面倒見てあげることだって出来るから」と、ありがたい言葉をくれた。
実際にそういうサポートをお願いしたことはなかったけど、そういう人がいてくれるということが、何よりの心の支えだったなぁ。



坊主頭の2歳半で入園したアレックスが、いまはもう6歳になって、もう卒園だなんて。
節目のイベントは、どうしても目頭が熱くなりますな…。