~私の好きなもの、好きなこと、興味のあることをあれこれと綴るブログです~

コリンの血清物語(超長文覚悟)


いつか訪れる日本への旅行の日に備え、少しずつ準備を進めているうちのビーグル犬、コリン。
日本の動物検疫所が求めている手順を、一つずつクリアしていっています。


狂犬病の未発生国とされている日本は、とかく海外からやってくる犬・猫に対して厳しいのです。ちなみに未発生国は日本のほかに北欧3国、ニュージーランド、あとは太平洋上の島々にすぎない、とのこと。非常に少ないのねぇ。
ということは、日本は、なんとしても水際で狂犬病の疑い動物をストップしないといけませんねぇ。
ということで、日本に犬・猫が入るための条件が、こんなに厳しくなるのは仕方ないことで、私たち飼い主は理解しなければなりませんねぇ…。



さて、うちのコリンですが。先日はマイクロチップ導入後2度目のVacina Contra Raiva(狂犬病のワクチン接種)を受け、それから20数日が経ち、このほど、いよいよ血液採取と相成りました。
ここの段階が、私たちブラジルに住んでいる日本人飼い主にとって一番の難関かも知れませぬ…。



採血は、まぁどこの獣医さんもやってくれるんだけど、問題はその後。
日本政府が求めているのは、「血液から血清を取り、それを、日本政府が認可した研究所にて検査する」こと。
うん。血液、血清採取はOK。ここサルヴァドールの獣医さんもやってくれる。



問題は次。
「日本政府が認可した研究所」っていうのがね、ブラジルには存在しないんですよ。
同じ内容の検査(犬の血清を調べ、狂犬病ワクチンの抗体がちゃんとその犬の体についたかを確認する検査)は、サンパウロのパストゥール研究所でも出来るのね。
だけど、悲しいかな、サンパウロの研究所は日本の認可を受けていない。だから、いくらそこでいい結果を得ても、全く意味をなさないんですわ。日本入国にあたっては。
うちの獣医さんいわく「同じ検査をサンパウロでやってるんだから、サンパウロでいいでしょうよ。」と。
それがねぇ、ダメなんですよ…。
なぜダメなのかを説明したんだけど、イマイチ腑に落ちない様子の獣医さん。


で、彼は私に次のようなオーダーを出した。
サルヴァドールの空港にある検疫所に行き、日本に行くために必要な手続きについての情報を得ること」
決して、獣医さん自身がそれを調べるのではなく、あくまで飼い主である私が調べるってことですよね。はい。その通り。
だって獣医さんは、それを仕事としているわけじゃないからねぇ。



そして私は一応空港に行き、検疫担当のところで質問してみた。そしたら、日本など個別の国についてはわかりかねるので、日本の領事館にでも聞きなさいと。
そうだよね〜。そう言われると思った。
そして日本領事館のサイトには、日本の検疫所のサイトへリンクが貼ってあって、すべてはそこから情報を得よということだった。
そうだよね…。


次に私がしたことは、うちの獣医さん向けにポルトガル語による手続き詳細を作ることだった。
先日のポル語試験で培った作文力をさっそく生かし(笑)日本の検疫所のサイトに書かれている内容から獣医にとって必要と思われる事項をピックアップしてポル語に訳した。
全部の翻訳は大変なのでね。読む方もね。だからポイントだけをピックアップして。



それにより、
マイクロチップ導入後、2度の狂犬病ワクチン接種が必要なこと
・その後採血し、血清検査をしなければならないこと
・その検査はブラジルの検査機関ではできなくて、海外の指定研究所でやるしかないこと
・出発直前に健康診断を受けねばならないこと
・日本が求める既定の書式に獣医が記入しサインしなければならないこと…を伝えた。
うちの獣医さん、私のポル語文(やや怪しめ)を読みながら、ふんふんとうなずく。
そして問題となる血清検査について。



「日本国指定の研究所にて行うこと。採血にあたっては、各研究所の検査手順に従って行うこと。つまりは、採血前に、研究所から十分な情報:血清の量、申請書のフォーマットの有無、輸送方法について…などを得ること」
と書いてある。
それを読んだ獣医さん。
「そうだそうだ、事前に必要な情報を得ないと送れないよね。もう電話とかメールで確認してるよね?」と。



はい。当然、これも私の仕事だ。獣医さんが研究所と連絡を取り合ってくれるという話にはならないのだ。
まぁ、そうですよね。獣医さんの仕事の範囲外ですわね。



ということで、私が研究所と連絡を取り合う。これがまた面倒。
だって、指定研究所は全部海外なんだもん。
研究所リストは日本語のサイト上にあるからいいんだけど。さて、アメリカ、ヨーロッパ、なぜか南アフリカにも研究所があるよ。どうしよう…。



そこでふと思い出す。サンパウロの私の知り合いは、みなアメリカに送っていたな、確か。
でもここサルヴァドールからだと、直行便が毎日出ているヨーロッパがいいんじゃないか。しかもポルトガルにひとつ研究所があるよ。
だったらポル語でいけるし。何かあっても、うちの獣医さんとポル語でやりとりしてもらえばいいんじゃないか!
我ながらナイスアイデア!よし、ポルトガルにしよう!!



そう決めてポルトガルの研究所にメールで問い合わせた。が、なかなか返事が来ない…。
仕方ないから得意のスカイプ国際電話(激安)でポルトガルに直接電話してみたら、担当の女医さんと話すことが出来てね。「ああ、メールくれた方ね。血液の受け取りについて、リスボンの空港の検疫でひっかかるかも知れないから、今ちょっと調べているの…だから返事はもう少し待ってね」
というお返事。
そうか…。輸送の問題があるのか…。


だったらポルトガルはあきらめよう。
仕方ない、みんなが送っているアメリカのカンザスにある研究所に送るか…。でもなんかアメリカってやだな…(それは単にスーツケースを壊された前科があるから・苦笑)
なんとなくそう思いながらネットで情報を調べていたら、世界各地のいろんな飼い主さんが、イギリスの研究所をよく利用しているということを発見。詳しく梱包や支払いのことまで解説してくれているブログまであって!
素晴らしい!ブログ時代!!!
なんだかイギリスのラボはすごく良さそう。早速今度はイギリスにメール。同時にラボのサイトもチェック。
そしたらもうすでにサイト上に一連の手続きについて詳しく載っている。す・ば・ら・し・い♪
さらに、メールの返事もすぐに届いた。ブラジルからだけど大丈夫ですか?という問いに、もちろん大丈夫よ〜!のお返事。嬉しい。



必要な血清量(最低1ミリリットル)もわかったし、梱包方法、輸送方法もわかった。
さっそくうちの獣医さんに連絡する。今度は、英語による説明をポル語に翻訳して。もちろんそこはgoogle翻訳様にかなりお手伝いいただいて(笑)
あれってかなり便利だね。英語→ポル語はかなりいい感じで訳してくれる。日本語を絡めるとやや厳しいけど、それでもよく出来たサービスだね。無料なのに。ビバ、google翻訳


そして今日。
無事にコリンの血清を受け取ることができた。昨日採取した血液を遠心分離機にかけて血清にしたもの。薄黄色の透明な液体。初めて見た…。



血清の容器には必ずマイクロチップ番号を明記したラベルを貼る、というのがお約束なんだけど、これがすごいよ…
紙のシールタイプのラベルを予想してたらとんでもない。日本だったら、部活で突き指した時に指をぐるぐる巻きにする時の白いテーピングをね、容器にぐるぐる巻いて、液体が漏れないようにして。
そのテーピングに直接ボールペンで文字を書いてた…。だ・い・た・ん♪
ま、番号が識別できればいいのか、と。



そして私が持参した小さい透明タッパー容器に2本の血清容器を入れ(まぁ小指程度のサイズのもの)、その周りに綿を詰め、タッパーのふたをまたテーピングでぐるぐる巻きにして直接文字を書いて…
私はその状態で血清を受け取りました。

あとは、ラボのサイトからダウンロードしておいた申込用紙に獣医さんのサインをもらって。必要事項は自分で事前に記入しておいたので、獣医さんはサインだけでOK。
うまくいくといいね〜、と先生は小さくウインクし、私たちを見送ってくれました…。
はい、獣医さんのお仕事は、とりあえず今のところ、ここまでのところはこれでOK。



ここから先は私のお仕事です。
イギリスまで輸送するにあたっては、こういった医療用品・検体を送る際の国際的な基準を適用しつつ梱包しなければならなくて。
IATA650準拠の三重包装というらしいんだけど、これも日本のサイトに詳しい図解があったので特に難しくもなく。
要するに、綿入りタッパーに血清→それをさらにジップロックに入れて→それをさらに保冷剤入りのジップロックに入れて→プチプチでぐるぐる巻きにして… って、この時点ですでに三重包装どころか四重なんですが(笑)


最後にcorreio(ブラジル郵便局)の黄色い箱にそれを入れ、周りにクッション材を入れて完了。
検査申込書と支払い関連書類(クレジットカード決済するのでその情報)、イギリス通関の際に必要とされる書類(これもラボのサイトからダウンロードして印刷するだけ)を同封し(濡れないようにやはりジップロックに入れて)、完璧♪


これを郵便局の窓口に持ち込み、EMS(国際スピード郵便)で送るだけ。
内容についてもちゃんと血清であることを説明した。窓口の女性は「え、血清?人間の??」と一瞬不審な顔をしたけれども、犬の検査のためだと説明したら、納得したらしい。
別に血清の輸送を拒否するわけじゃないのね、ブラジルのEMSって。ほっ。


料金を支払って、さあ、コリンの血清よ、いざ旅立ちのときだ!!!

と、思ったんだけど、窓口でいざ手元を離れるときになって気付いた。明日はブラジルの祝日だ!
国際郵便は、サルヴァドールから直接ヨーロッパ行きの飛行機に乗せられるわけじゃなくて、通関の関係で、必ずいったんサンパウロに集荷されるんだって。
となると、今日サルヴァドールからサンパウロに行くのは確実だけど、明日は間違いなくサンパウロで丸一日足止めを食らうと。
そうすると保冷剤がぬるくなる…一日分、ぬるくなる〜。
血清は冷凍・冷蔵便で送る必要はなくて、まぁ念のため保冷剤を入れて常温でOKということでイギリスは了承しているんだけど、なんとなく気持ち的に丸一日足止めって嫌だな…
それなら、発送ギリギリまでうちの冷凍庫に入れて置く方がましだよな…と気づく。
で、いったん家に持ち帰り中。冷凍庫で保管中な現在であります。


まだまだ現在進行形な、コリンの血清物語。
は〜、長いよ!
こんなことを自力でやろうとする暇な物好きはめったにいないかも知れませんねぇ。
サンパウロには、こういった一連の手続きをすべて代行してくれる有名な獣医さんがいらっしゃるそうで、それ相応の手数料も取るらしいけど、手数料は納得だよね。
だって、かなり、面倒だもの…。翻訳から海外研究所とのやりとりから、梱包、発送って。ね、ここまで読んでどれだけ面倒か、おわかりでしょ♪
私もサンパウロ在住だったら、実績のある慣れた業者さんにお願いしていたかもね。その方が安全・簡単・確実だもん。自力でやってミスして、いざ入国の時に拒否されたらどうしましょう???



でもここはサルヴァドール。コリンを血清採取のためにサンパウロに連れて行くのもナンセンスだし、じゃあ血清をここからサンパウロに送るのか?
どうせ送るなら、サンパウロを経由しないでいきなり海外の研究所の方が、早いし楽なんじゃないか?
いろいろ考えたら、ここは自力でやってみるのが一番いいのかな、と思ってね。


そして、やってみたら、なんとか自力でもここまで出来ましたよ。
ただ、まだまだ現在進行形なので、何とも言えません。私のやり方で、最終的に問題なくスムーズに日本に入国出来たとしたら、万々歳!



でもでも、まだ物語は続いているのでね…。
とにかく、無事に血清がイギリスのラボに届きますように。(途中で血清が漏れる、なんてことは起こらないでくれ〜)
検査が無事行われ、条件を満たす抗体値が出ますように。(せっかく検査しても、結果がNGだと、再採血して再送付だよ〜。それは勘弁してくれ〜)
今はそれを祈るのみ。



なお、海外から日本へ犬・猫を輸入する(輸入という表現ですけど、まぁ、連れて帰るってことね)場合の手続きについては、日本の動物検疫所のサイト・ペットの輸出入コーナーを。
私が血清サンプルを送るイギリスの研究所BioBestのサイトはこちら
サルヴァドールでお世話になっているペットショップ兼動物病院はこちら
IATA650準拠の三重包装についての図解入り説明はこちら
あと、血清 犬 検疫 などで検索すると、経験者の方々のサイトにたどり着きます。有益な情報を得ることができます。
犬ブログの帰国経験者・帰国準備中の先輩方には、この場を借りてお礼申し上げます〜。たくさんの情報をありがとうございました!ほんと助かりました〜〜〜。
引き続き、犬と一緒に日本へ行く件についての経験談(特に、失敗談・ここに気を付けるべし、的な経験談)をぜひお寄せいただけたら幸いです。ブラジルならではの難問とかって、あるのかなぁ。



それにしても。ネット時代のおかげで、面倒な手続きもずいぶんネット利用で簡単に出来るものです。すごいなぁと思う。
ね、コリン。
あと少し、一緒に飛行機で日本に行けるようになるまで、頑張ろうねっ。



ちなみに、今までかかったお金。
マイクロチップ代 80レアル(4000円)
狂犬病予防注射代 55レアル×2回=110レアル(5500円)
採血代      10レアル(500円)
配送用EMS箱代(tipo 2) 2.80レアル(140円)
EMS配送料(イギリスまで、500g以下)80レアル(4000円)
研究所検査費用  70ドル(5600円)
トータル 約19740円也。