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サルヴァドールのコリンチャンス軍団、サンパウロへ


年に一度開催されるという、サンパウロ旅行@コリンチャンスに初めて親子で参加してきた。
これは、コイが所属するサッカークラブ(コリンチャンス主催の全国に支店:フランチャイズ展開している少年スクール)が企画しているもので、本拠地サンパウロに行き、レベルチェックを受けるというのが主目的。
そのついでに、サンパウロの他の支店クラブと練習試合をしたり、サッカー博物館を見学したり…と、総合的なサッカー活動を4泊5日にわたって行おう、というものだ。
一応、1997年〜2000年生まれが対象なんだけど、2002年のコイも行けることになった。というか、行きたいと言ったら行かせてくれることになった。
つまりは、ここに技術的なセレクションというものは存在しない。行きたい人ならだれでも行ってよし、というものだ。



とは言え、メンバー20数名の顔ぶれを見てみると、クラブ内でも上手な子が圧倒的に多い。そうだよなぁ、本部でレベルチェック受けようと思うような子だもの、そこそこ上手くないと行く意味ないよね。
コイにとっては、年齢も年齢なので、完全に記念受験なんだけど。まぁ、それでもいいか。サッカー馬鹿さんに、私もとことん付き合ってみようか。



そして参加した団体旅行。
もちろん私たち親子以外は、みーんなブラジル人。
コイにとっては、そういう環境は日常茶飯事なわけだけど、私にとっては初体験。4泊5日、まるまるずっと、ブラジル人と過ごすなんて生まれて初めてだよ〜。

朝8時50分に出るはずの飛行機は、いきなり遅れに遅れて、10時半発になり。波乱万丈の旅の始まり…。
空港ではそろいのコリンチャンスジャージ軍団が、見送りの関係者の写真攻めにあい…
どんな有名人が来てるんだよ?状態。

有名人と言えば、そうそう。カルリーニョス・ブラウンが同じ航空会社を利用するらしく、カウンター付近で遭遇しました。気さくに写真撮影に応じてくれ、日本語で「アリガトウゴザイマス」と話しかけてくれるなんて、本当にシンパチコ(感じがいい)な人ですねぇ。


飛行機の中もコリンチャンスだらけで、もちろん、わいわいがやがやと楽しそう。他のお客様には大変お気の毒様でした。
私は窓際の席で、空と海のあいだを探しつつ、うっとりと青を眺めておりましたよ。


サンパウロのホテルに着いたらもう2時近く。まだお昼食べてないからお腹すいて倒れそう…
で、ホテルからすぐのショッピングセンターノルチでみんなで行くことにした。お気に入りのドイツ居酒屋Munichは満席で残念ながら入れず、隣のアラブ系の店に入った。
もうすでに陽気でおしゃべりだらけなブラジル人父母たちに圧倒されつつ、一応リズムを合わせて笑ったりしつつ、とにかく腹ごしらえ。


そしてその日の夜には、パカエンブー競技場にて行われるコリンチャンスボタフォゴ戦へ。
サルバドールの子供たちは、試合前に選手と入場する大役を仰せつかっているのだ。これが子供たちにはかなり楽しみでね。夜遅いのもなんのその(21時50分試合開始だよっ)、元気に登場〜
まずは横断幕を持ってコートを一周。


続いて選手入場口前にずらりと2列に並んで、選手の通り道を作りつつ、登場を待つ…
コイってば、ラッキーにも列の最前列付近に陣取っているよ。

選手が出てきたら、2列の列はくずれ、子供たちは思い思いに選手のもとへ駆け寄るというわけだ。嬉しそうだねぇ、みんな。


その後、席に戻って試合観戦。家族席みたいなエリアだったようで、子供連れが多く、ゆったりとした席で良かった。もちろん、石段の自由席だけどね。
残念ながらコリンチャンスは負けたけど、みんなでサンパウロで生観戦という経験はとても刺激的だったね。なんとか雨も免れたしね。
終わったのは深夜0時…
とても子供が起きてる時間じゃありません。っていうか、サッカーの試合をするような時間じゃありません。
ほんと、こんなに遅い試合はやめてほしいよ、ブラジル。(っていうか、グローボよ。)


そして翌日は午前中から練習試合。寝不足もいいとこ。
場所はどこなの…? 連れて行かれるままにバスに乗り、着いたところはAgua Rasaとか言うところ。サンパウロに2年半住んでましたけど、ええ、一度も耳にしたことのない地名ですが。
どこかのチームの練習場のようで、とても広くていいコートでした。
ここで、ブタンタンのチームと練習試合。年代別に3カテゴリーで戦い、コイはもちろん一番小さいカテゴリー。先発で出してもらい(ボランチ)、可もなく不可もなく戦っていたようですよ。0−0で引き分け。

サンパウロ3日目にようやく本部でのレベルチェックテスト。これは部外者立ち入り禁止の中で行われたので、親たちは見ることが出来ず。
よって、大人はフリータイムな一日となりました。
このあたりから雨続きとなったサンパウロ。寒い寒い。そして雨雨雨…。外でサッカーなんてやりたくないなぁ、って感じの日々。



4日目はまた練習試合。またミステリーツアーよろしく、バスに乗って試合会場に連れて行かれるわけだけれど…着いたのはなんと、隣町のエンブー。あの、エンブー・ダ・アルチですよ。
なぜよりによってそんな遠くまで行くんだ… 市内にいくらでもチームはあるだろうに…
しかもこの日はかなり強い土砂降り。全くやむ気配なし。
着いたところはめちゃめちゃ狭いコート。フットサルより狭いんじゃ?ってくらい、狭い。
そして足元には大きな水たまり…こんな中で試合やるのかよぅ???ってくらいのバッドコンディション。


それでも、大きい子のカテゴリーは試合を決行した。しかしボールは転がらないし、水に足をとられて転びまくるし、大変すぎる環境。
見かねたコーチたちは、一番小さいカテゴリー、つまりコイのいるところは、今日は試合は断念しようという決断を下した。エンブーまではるばる来たのに、試合、なし…。
しかしそれもやむなし、って感じの強い雨だったからなぁ。
明日の午前中にも予定されている練習試合に賭けよう。



しかし最終日も朝から大雨。神様のいじわる。
結局、ホテルを出る時点で、練習試合中止の決断。辛すぎる。はるばるサルヴァドールからサッカーしに来てるのに、予定の半分しかサッカー出来ないなんてーーーー。
とほほすぎる。
でも、まあ、雨じゃあ仕方ない。ブラジル人たちも特に文句を言うでもなく、素直にコーチの声に従う。従わざるを得ない…。



仕方なくみんなでサッカー博物館に行くことに。
っていうか、実はそこには前日の午後に行くことになっていたんだけど、なぜかホテルのプールでお遊びというプログラムにいつのまにか差し替わり、博物館めぐりは宙に浮いていたのだった…
ほんとに適当な運営で参っちゃうわ、もう。(慣れたけど)


そしてサッカー博物館。ここは私は2度目だけど、何度来ても楽しめるすぐれた博物館だと思う。
そこまでサッカー馬鹿じゃなくても楽しめるもんね。
サッカー少年ならなおのこと楽しいさね。
内部の写真撮影が禁止されていたので、あまり雰囲気が伝えられないけれども、ここは間違いなく楽しい博物館です。はい。

お昼すぎに見学を終えて、ランチをとりにセンターノルチの敷地内にあるレストランに戻り。なんせ人数多いのでね、日曜のランチにみんなで入れる店ってそんなに多くない。子供たちは滞在中、何度同じレストランに入ったことだろう。



ところで飛行機は夜の9時半過ぎの便。ゆっくりランチしてもまだ3時だよ…
そして外はまだ土砂降り…。どこでどうやって過ごすのよ…と思ったら。なんとびっくり!子供たち引き連れてぞろぞろとショッピングセンターノルチの中へ。
そして、中央広場みたいなところで円陣を組んで、いきなりストレッチ体操を始めちゃったよ。
さすがにボールこそ使わなかったけど、サンダルをコーンに見立てて走り込みのトレーニングまで始めちゃったよ…


かなり異様な光景。
周りには見学者多数。
すごいな、ブラジル。こんなところでトレーニングやっても怒られないんだー。
もうなんか、もろもろカルチャーショックが…。ブラジル在住6年になるけど、それでもまだまだ、私の知らない世界がたくさんあります…
サッカー少年の世界はまたこれで独特というか激しいというか。はぁー。



そしてサッカー少年の親御さんたちもまた激しく、熱く、賑やかな人たちだったのです。疲れるほどに(苦笑)
バスの中では大声で冗談言い合ったり、歌ったり、叫んだり。いい大人が、もう、カーニバルでもないのにどうしてこうもテンション高いのよ?!
とにかく、まともに対応していると体力消耗も甚だしいので、途中から私はバスの中で寝たふり…
でもうるさいから寝れないんだけどさ(笑)


空港での待ち時間も激しく長かった。上の階の片隅の、もう閉店している銀行の前あたりに軍団が陣取り、座り込んで時が過ぎるのを待った。
これもまたすごい光景だ…
なぜかコイの歌のリサイタルが催されたり(今回、コイは何度歌を歌ってみんなを沸かせたことか。コイ、そのキャラはいったい、だれ譲りなのだ???)。
ピアーダ(笑い話)披露や、パゴージ踊り披露があったり。まぁなかなかに楽しい待ち時間ではあったんだけども。

それにしても飛行機がまた2時間近く遅れるなんて…
サルヴァドール着が深夜0時ちょっと前の予定が、着いたのは1時半過ぎだったよ。ええと、明日、というかもう今日になるんだけども、月曜日ってことはみんな仕事や学校があるんですけど…
繰り返しますが、子供や青少年がこんな時間に旅行から戻ってきていいものなんでしょうか…
そもそもどうしてもっと早い便を予約しなかったのでしょうか…。



日本の常識では考えられない、子供の団体旅行なのであります。すごいっしょ。
毎日のスケジュール表みたいなものは用意されておらず、親たちも毎日出たとこ勝負みたいなもんで、ほんと、ハラハラよ。
それに対する文句を言う親御さんもさすがにいたけれど(良かった、それでこそまともな感覚というもの)、だからと言って翌日から状況が改善されるでもなく。
集合場所や時間も毎回かなりあやふやで。バスに乗って点呼を取るでもないから、もう、乗り遅れそうになる人、続出よ…。
私はそれが怖いので、いつもかなり早めにバス付近でスタンバイしていたけれどねぇ。ハラハラの連続だったわ。だってさ、仮に「5時半にロビーです」って言われたとしても、実際はその通りじゃなかったりするんだもん。
まさに、もう誰も信じられない…の世界(笑)
それでも団体旅行は回ってる、というのが不思議でもあり、さすがブラジルでもあり。



いろいろといい経験をさせてもらいました。
毎日毎日、ポル語オンリーの世界で過ごすことがどれだけ大変か、疲れることか。初めてわかったわ。



ブラジル人の中で働く日本人の皆様。心から尊敬とお見舞い(笑)申し上げます…。
それにしても、コイもアレックスも毎日こういう環境にいるってことなんだなぁ。なんかすごい。って、在ブラジル6年にしてやっと悟ることができた私。
遅すぎね。