~私の好きなもの、好きなこと、興味のあることをあれこれと綴るブログです~

日帰り手術の顛末記


本日、我が家の家族一人が、とある手術を受けてきた。
日帰り手術で、本当にあっという間に終わり、い、いいのかこんなに簡単に終わっちゃって?!と思うような手術だったんだけれども。



でも、ここにたどり着くまで、本当に大変だった。これまでの経緯がもう。やっぱりブラジルで手術を受けるって大変だ…



書かないでおこうかとも思ったけど、記録としてやっぱり書いておく。相変わらず超・長文なのでご興味のある方だけどうぞ!



まずは普通の健診から始まった。医師は、「これは手術が必要だわね」と告げた。さらに、執刀医の紹介までしてくれた。
たぶんここで紹介を受けてなければ、きっと先延ばしにして、今日の手術には至らなかっただろう。
だって、また一から執刀医を探さなければならないもの。この国の医療は徹底的に分業されているから、手術となるとまた話は別、病院も別になるのだ。そして膨大な医師の中から良い人を探すのは並み大抵のことではない。なので、たとえ紹介された病院が遠くても、せっかくの紹介だもの、行くしかないのだ。



さてブラジルの医療の仕組みはと言うと、前にも書いたかもしれないけど、民間の医療保険に加入(月々いくらを払って)→保険会社と提携している病院を受診→医療費はすべてタダ(というか保険でカバー)という具合であります。


だから、どの保険に加入しているかによって、使える病院が違ってくるのだ。どんなに近所に立派で信頼できそうな病院があったとしても、うちの保険適用外だったら行けない。行っても自腹で超高額な医療費を払わねばならない。そんなもったいないこと、私には出来ない(笑)。



ということで、紹介を受けた医師を訪ね、うちから車で20分、バスなら1時間の病院を受診した。結構遠い。ここ、一応時間の予約をしているにもかかわらず、朝から長蛇の列でねぇ…
1時間、2時間待ちはざらでしたよ。



初診で先生に状態を見てもらい、これは手術ですねということになり、必要な検査を受けてくるよう指示を出された。
検査は心電図、血液、便だったんだけど、これがまた。全然別のところにある検査機関に出向いてやらなければならない。あぁ、めんど…


心電図は幸い同じ建物内でできたんだけど、血液と便は自宅近くの検査機関まで戻ってやった。
だって便なんて3日連続3回提出しろって言うんだよ!なぜに!!!
結局私は便を持って3日間そこに通うわけで…これは自宅近くじゃないと辛すぎる。便を持って3日間片道1時間のバスの旅…ありえないでしょう。


で、検査結果をもらいに、数日後また検査機関に行く。ふー。



その次は検査結果を持ってまた医師のもとへ。ここで、手術日を決め、それまでにすべき準備項目について指示を受ける。



・入院前準備室に行って手続きすること
・麻酔医に連絡すること
・保険会社に行って手術承諾書をもらうこと



この3つなんだけど、これがまた大変。
入院前準備室では、当日までのスケジュールを確認する。ま、これはいい。


麻酔医に連絡。
これは病院内に麻酔医室があるにもかかわらず、その窓口で連絡するのはダメで、電話でのみの受付だと言う。電話でポル語は苦手なんだってば〜。
でも仕方なく電話をする。と、手術数日前に一度麻酔医を受診せよと言う。ああ、また病院に行かないとダメですのね…。



一番大変だったのが、保険会社から手術承諾書をもらうこと。
私の保険はサンパウロに本部がある会社。で、サルヴァドールにも一応支店がある。なので支店にまず出向いた。
ここでも整理番号を取り、なんと1時間待ち…。受付の女の子がなにやら一生懸命パソコンにデータを打ち込んでいるが、なんでそんなに時間がかかるの?ってくらい、作業が遅い。
いちいち上司に聞きながらの打ち込み。そんなに珍しい手術でもないだろうに、どうなの、その対応の遅さはっ???


と、日本人的にかなりイライラしつつ。



申し込み日から10営業日以内に承諾書が出ます、と言う。
しかし、病院側から指示された承諾書提出日は、10営業日も待てないんですよ。いついつまでに出せと言われてるの。だから早めにお願いしますよ、と期限を告げて念押ししてお願いする。
すると、たぶん水曜日には出来てますから、水曜日に電話下さいと。



そして水曜日。
書類は出来ていない。
翌木曜日は祝日だった。書類提出期限は金曜日。
だから水曜中に必要だったの。な・の・に!


金曜日には必ずお願いします、と念押しする。
すると、「では優先コース(プリオリダージ)に変更しますから」と言う。
そういうコースがあるなら最初からそうしといてくれよっ!期限伝えてあるんだからさっ!!!



そして金曜を迎え、朝から保険会社に電話をかけまくる。
これがまた。
電話が全然つながらない。居留守使ってるのかい?って思うくらい、全然電話に出てくれない。もー、どーなってんの???


やっとつながって、承諾書が出来てるかどうか聞いたら、まだです、とさらーっと言ってのける。
まだですってあなた。困るんです。今日中にもらえないと、手術できないんですっ!!!と吠えてみる。
すると、「手術日を延期されたらどうですか?」としゃあしゃあと言ってのける。
延期ですって?
この日を決めるために、今までどんだけ苦労したか?
また先生に会いに行って、日程調整しろって言うの?


冗談じゃありません!!!



と、かなり怒ったら、
「だったらご自分でサンパウロ本部に電話してみて下さいよ」とこっちに投げてきた。
ま、また私にポル語で電話しろと…。
でも、これ以上怒っても仕方ないので、サンパウロ本部にかけることにする。



で、状況を話すと、「お客様の申請、いったんキャンセルされて、昨日から再申請になってますよ。昨日から10営業日後に通常出ますから、まだまだですよ」との返答。
はー?
キャンセルー???
これまで待った日数はチャラになるっていうんですか???


あ・り・え・な・い…



ここは怒らずに。
冷静に。
困った様子で、お願いモードだ。それしかない。



で、非常に困った風に事情をあらためて説明してみた。
そしたら電話の姉さん、わかりました、と。こちらからも承認チームに今一度働きかけますから、と。
そして承認が下り次第、こちらから電話しますから…と言われ、電話を切る。


金曜日中に下りることを軽く期待してたんだけど、やっぱりダメで。
月曜まで持ち越し。
マジで月曜中に病院に提出しないと無理かも…。ほんとにギリギリの月曜日。
午前中、保険会社からの電話は全然こない。
執刀医の携帯に思わず電話してしまう。承諾書がまだなんですけど、木曜の手術は受けられるんでしょうか…と。そしたら楽観的に「大丈夫よ〜手術はしますから!」との答え。
だ、だいじょうぶなのかよ、ほんとに…。


そして午後いちで、しびれを切らして、私の方から保険会社(サンパウロ)に電話。
そしたら。
「あ、承認下りてますよ」と一言。
どこの誰ですか。承認下りたら私に電話くれるって言った人は!!!
下りてるんなら連絡してよーーーーー。



ブラジル生活5年近くなりますが、今まで、「こちらから電話します」って言われて本当にかかってきた試しは、限りなくゼロに近いっす。
これがブラジル。文化の違いということにしておきますが、いつも、頭に来ます…



ま、そんなこんなで、なんとか月曜日中に承諾書を取りに行くことが出来、その足で病院に提出しに行き、無事、手術当日を迎えることが出来たわけですが。



すでに疲労困憊。とほほ。



さて当日は7時に入院準備室に入り、事務的手続きを済ませ、いろんな書類にサインをした。
手術は9時半からと言うことだったので、それまでの時間は、病院の個室でベッドで休めるのかな〜と思っていた。なんたって入院だもんね、たとえ日帰りとはいえ、1日入院だもんね〜



と思ったら。
入院準備室の事務員は、「執刀医が、今回は入院が必要ないと申しております」と言ってきた。ああ、それって日帰りってことだよね…と聞き流してたら、ちょっと違った。



個室も何も。普通の待合室で、普通に座って待つのみであった。
せめてベッドのある個室で待機させて欲しいじゃない?ねぇ。
ここであと1時間以上待つのか〜。う〜。



と思っていたら、8時15分ごろ呼び出された。え、もう手術ですか?
予定は9時半なんですけど…。
そしてトイレで手術着(と足カバー、頭カバー)に着替え。って、トイレでですか!!!
手術室へ入って行ったのが8時25分のことでした。私は例の普通の待合室で待機。



その30分後、手術が終わったことを告げられた。早っ!
まだ麻酔で寝てますから、起きたらまたお呼びします…ということで、ふたたび待合室で待機。



それからまた30分強で呼ばれ、手術室エリアに入ったら、目を覚ました患者がぼーっとベッドに横たわっていた。ほんとに何にも覚えてないんだって。痛くもかゆくもなかったんだって。
風船みたいなのをふくらまさせられて、気付いたら寝ていたらしい。
笑気ガスってやつですかね?



そのまままた30分ほどそこ(手術エリアの廊下。術後も個室はもらえず…)にいて、本人はビスケット2枚とマラクジャジュースを与えられ、食べていた。昨夜から絶食だったからねぇ。



そしてやっと帰宅OKが出た。痛み止めと抗生剤の説明を受け、シャワーは明日からOKとか、術後検査は何日とかの説明を受け、着替えを済ませ(またトイレでだよ)、タクシーで帰宅した。



それはまだ10時半のことであった。
日帰り入院どころか、半日以下かいっ!
そんなに早く返していいのかいっ!!!



保険会社め、費用をケチったな?!(違うか)
入院させると、費用がぐぐっと上がるからねぇ。廊下で休憩、トイレで着替えなら、きっと、ぐぐっと安くなるんだろうよ…
と、いやらしいことを想像しつつ。



とにかく、無事に終わって一安心。
術後しばらくは痛みがあるだろうし、日常生活に戻るには2週間くらいかかるそうなんだけど、これで心配の種が一つ減ったんだから、良かった良かった。
ここに到達するまでに、私のエネルギー、相当使ったけど。でも、その甲斐あって、無事成功に終わって良かった良かった。



何の手術かって…
それは男性が出産を経験できないように、女性の私には経験することが出来ない手術です、とだけ書いておこう。


★追記★
手術翌日の金曜日。
我が家の患者あてに1本の電話がかかってきた。
電話の主は、保険会社。
例の、「手術承諾書がおりたら電話します」と言っていた保険会社。


今頃何を???


「手術承諾書がおりましたのでお電話しました」


はーーーーーー????


「ええ、昨日無事手術を終えましたけど」とさらりと返事しておいた。
呆れてもう怒る気も失せました。
どういう情報管理体制になってんの、この会社?????
承諾書を取りに行ったのは月曜で、手術当日が木曜。で、この電話が金曜って…


謎すぎる…。
この国、心配すぎる…。