(6)チリよさようなら、こんにちはフィッツロイ
オールインクルシブで食べ放題飲み放題のホテルの飲食にもさすがに飽きてきたチリ4日目、ふたたびバンにてアルゼンチンのカラファテに戻る。
このホテルのことをちょっと書くと、もうとにかく国際的で、いやこのホテルだけでなくパタゴニア自体がかなり国際的なんだけれども、英語・フランス語・イタリア語…と、チリの公用語のスペイン語以外の言語がもう乱れ飛んでいた。
部屋は広くないけど清潔で、バスタブもあってシャワーの出も快適。
食事はすべてレストランでするんだけど、雰囲気はなかなか良い。食事は朝食はビュッフェ、夜はサラダバーのみビュッフェで、メインなどはメニューから選んで注文する。
オールインクルシブでないお客さんも多いのか、それぞれに価格がついているんだけど、チリの物価は高いよ〜。メイン料理のステーキが2〜3000円くらいするの。サラダバーも1500円とか。
まともに計算したらすごい金額のディナーになっちゃう。オールインクルシブにしておいて良かった。
料理の味は可もなく不可もなく、かな。全体的にアルゼンチンの方が安くて美味しいと思う。ま、ここは山の中の観光地なんだから、素材調達も難しいだろうし、だからこそ値段が跳ね上がるのも仕方ないよねぇ。
おいしいチリワインなども飲み放題なので、いろいろと気軽に試せるし、好きな時にバーに行って山を眺めながら生ビール…ってのも可能。酒飲みにはたまりませんな。
インターネットは使い放題だけど、ロビーに2台しかなくて、しかも誰かが使ってたら使えないし、制限時間も何もないので、もう皆さんのモラルに頼るしか…って状態。次の行先のこととか検索したいんだけど、なかなか空かないんだ、これが。
しかも回線が恐ろしく遅いんだ。
日本語が入ってないからメールチェックも出来ないし。
ま、山を見に来たんだから、ネットが使えないのは別にいいんだけど。でも今の時代、もうちょっと頑張ってね…と言いたいかな。
ホテルの雰囲気、外観とか立地とかインテリアとかは大好き。
昔、北海道の赤井川村に「ホテル・ドローム」という小さなホテルがあったんだけど、そこによく似た雰囲気。
あとは、行ったことないけど、上高地帝国ホテルがきっとこういう雰囲気なんだろうと思う。そういう、ちょっとおしゃれでハイソな山の宿。好きだなぁ。
客層は、圧倒的に熟年ハイカーが多いけど、若い山好きカップルとか、少しだけど子連れ客もいた。日本人には合わなかったけど、英語が上手な日系人(きっとアメリカの日系人?)は数名いた。
ブラジルからは、リオに住む家族にひと組会った。スペイン語じゃなくて、ポル語が通じる幸せを実感(笑)
さて帰りにも例の狭い木橋を通るわけだけど、なんと、この数日で川の水が増え、途中の道が消えてしまったのだ。
車は水の中を走らなければなりませぬ…。
そこに登場したのが三菱のトラックであります。水陸両用なの?ごっついタイヤをはめてて、水(といっても水深1メートルもないけれど)の中に埋もれた道をじゃぶじゃぶ走ります。
荷台にわんさかと客を乗せて…。
ドナドナ状態で…。
なんとか渡り終えると、別のバンに乗り換えて、各自、各方面へと向かいます。今度も私たちの車はプライベートカー状態、ラクチン快適♪
帰り道もかなり快晴で、車を止めて写真を撮らずにいられない…。
チリの国境で、またも日本人の団体さんに出会ってビックリ。行きの人たちとは別のグループですよ。17日間でパタゴニアを巡るそうですよ。すごいよね、遠く日本からここまで来てくれたなんて、南米在住者としてなんだか感動してしまうわ。
(自分たちも日本人だってことを思わず忘れてしまう。ははは)
順調に車はカラファテに到着。
数時間、市街でアイスクリームを食べたり、バスの中で食べるためのお寿司(なんと2年前にはなかったお寿司屋さんが!日本人宿「藤旅館」のご夫婦が去年オープンさせたそう。その名も藤寿司であります。)を握ってもらったり…
そんなこんなで、今度は長距離バスでエル・チャルテンの街へと向かいます。
片道70ペソ、約2100円のChalten Travelのバスは午後6時半発。目的地までは約4時間。着いたら夜中だよ〜
と思いきや、ここは夜の長いパタゴニア。車内はしばらく明るくて、夕日タイムが訪れたのは9時過ぎで。
ずーっと車窓の雄大な眺めを楽しめたのでありました。
途中、トイレタイムに泊まった一軒宿、ホステリア・レオア。ここも由緒ある宿のようです。
各地の方角と距離を示すモニュメントがありました。東京は二万キロ!
思えば遠くに来たもんだ…。
エル・チャルテンまであと少し…のところで、遠くにフィッツ・ロイの美しいお姿が!
雲もなく、何にもさえぎられることのない山並み。
これはきれいだ。文句なしにきれいだ。
長距離バスを路肩に止めて、写真派のお客さんたちに撮影タイムを与えてくれた運転手さん。とってもナイス♪です。
もしかしたら、こんなにきれいに見えるのはラッキーなのかも…
なんせ、山の天気は変わりやすく、雲が出やすいものだからねぇ。
到着した夜の10時半はさすがに真っ暗だったので、次の宿「ホステリア・エル・プーマ」に送迎車をお願いしておいた。なのに、来てないよ!
到着地のユースホステルで公衆電話を借りようとしたら、公衆電話はここにはないと。代わりにフロントの姉さんが電話してくれると。
まぁ何でもいいけどお願いします…。
そしたら、宿泊名簿に名前がないそうだけど、と姉さん。
はぁ?
メールで何度もやりとりしてるから、間違いないはず!!!
そしたら、姉さん、私が頼んだのとは違う宿に電話してるのでありました。あーびっくりした。頼むよ、姉さん。
かくして無事にチェックイン。
この宿は、さすが、地球の歩き方に「町一番の宿」と紹介されているだけある。山小屋風で、おしゃれで、可愛くて部屋もナイス。
何よりお布団がふわふわでうれしい〜。羽根布団は初めてだ〜。
残念ながら、ホテル自慢の併設レストランはもう閉店時間だったので、フロントの姉さんに進められた「セルベサリア」(ビアバー)へ。
え、私たち、ビール好きってどうしてご存知なの、姉さん???
もう夜遅いのに若者で大賑わいのビアバー。なんとか席を確保し、地ビールをいただく。
…残念ながらぬるいよ、姉さん…
でも、素朴な麦芽がいい感じ。(なんのこっちゃ)
料理も、ロクロというアルゼンチンの煮込み料理(具だくさんスープ)が、ほかほかと美味しくて気に入った。小さなギターを弾きながら歌う地元ミュージシャンがプロモーションに訪れたりして、なかなか賑やかで楽しい店。
しばらくこの雰囲気に包まれていたかったけど、子どもたちが眠ってしまったので、こぼれ落ちそうな星空のもと、宿まで歩いて帰りました。
この街も素敵。気に入ったぞ。