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炎のマエストロ、78歳の小林研一郎さん指揮の「運命」を読響で東京芸術劇場で聞いてきた

池袋の東京芸術劇場で行われた、小林研一郎さん指揮による読売交響楽団のクラシックコンサートへ行ってきました。

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ここに至る経緯は、がんブログのほうに書いてます。よろしければどうぞ!

 

c-calorina.hatenadiary.jp

 

さて、東京芸術劇場ですが、たぶん私はじめて行きます、ここ。

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まずはホールのすばらしさにうっとりし…

こんな素敵な場所が、池袋駅西口から地下を通って徒歩5分くらいのところにあるなんて!

館内のデザインがまず素敵すぎますね。とても好きな感じです。

 

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モザイクタイルな壁の色合いも非常にツボでした。

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そして今回は座席が素晴らしかった。コバケンさんの先ほどの本にありましたが、オーケストラの団員さんが座席を選ぶならどこ?というコーナーで言及されてた、「1階席の後ろのほう、真ん中」という条件にぴったりの席だったんですよ、今回。R列の16番。これは自分で選んだわけではなくて、抽選販売で当たったのがたまたまここだったという…。

 

もうね、クラシックコンサートはいくつも経験してますが、こんなの初めて!って思えるほどに音が良かった。1曲目の「オベロン」序曲(ウェーバー)が静かに始まった時、スーッと音が私の周りに広がって。きれいだった…

 

2曲目のバイオリン協奏曲ニ長調(チャイコフスキー)は、イギリス人女性バイオリニストのタムシン・ワリー=コーエンさんがソリストだったのだけれど、細い糸のようなピアニッシモの音が澄み渡るように聞こえ。ああ、こういうことだよね、クラシック生演奏の醍醐味は…。かすかな音の、演奏者の息遣いまで聞こえるような音響のホールで聞くことの贅沢さよ。(正直、これまで聞いてきたほかのホールの2階席の後ろや3階席、サイドのバルコニー席で聞くのとは音がもう別物ですな… いや同じホールで座席違いの聴き比べをしているわけではないので何とも言えませんが。というより、そもそもここのホールがとりわけ素晴らしいのかも知れませんが)

 

このような環境で大好きな運命を聴けるかと思うと、それだけで鳥肌が立ちます。

 

休憩を挟んでいよいよ運命。出だしのテンポがとっても心地よく好きな感じで(時々すごく速い運命とか遅い運命がありますね)、のっけからワクワクしっぱなし♪

知っているメロディーだから、次の展開はどんなふうに演奏されるんだろう、ソロはどの人だろう、って予想立てながら聴けるのも楽しくて。

 

もちろん、炎のコバケン、炎のマエストロの異名をとる小林さんの指揮っぷりも当然見ものです。御年78歳って冗談でしょう?っていうくらい、ハツラツとお元気で。心底、すごいなぁと思います。音楽の楽しみが、全身で表現されている感じで、見ていてすごく気持ちいいのです。

 

そのコバケンさんにぐいぐい付いてくる読響のオーケストラの皆さんがまた素晴らしかった。なんでしょうね、読響の雰囲気に華があるというか、団員の皆さんのたたずまいがとても素敵。

 

わたしは、生演奏は、聴くのと同じくらい「観る」のが好きでして。いつもオペラグラスを持参し、演奏者の様子をアップで見ています。これが本当に面白い。自分も、筝曲部員として大学時代は定期演奏会のステージに 立ったことや、社会人邦楽合奏団のメンバーとして人様の前で演奏したことがあります。つまり出演者側の気持ちも若干ながらわかるのですがね。自分が音を奏でるときの緊張感と言ったら!そしてうまくいったときの安堵感、そしてそして何よりも「合奏」がうまくいったときの快感と感動は、お客様ももちろん受け止めてくださるだろうけど、演奏者はまた別の種類の達成感のようなものがあり…とにかく最高なんですよね。音楽の一体感って。

 

オーケストラの皆さんも、それはもちろんプロでいらっしゃるわけだから、私ごときの何十倍も何百倍もそのような感動・快感・達成感をステージごとに味わっているんだろうなぁ…(いいなぁ…)と、その演奏中の表情や様子を見るたびに、思いを寄せるのです。わずかばかりの共感を寄せるのであります。

 

今回の公演では、オーボエのソロの男性奏者がすんばらしかったですね。歌うような、心が音に宿ったような、そんなやわらかで優しい音色でした。その隣のフルートのソロの女性奏者も快活な感じで軽やかですごく良かったなぁ。バイオリンの皆さんが、ずいぶん近い距離間で隣り合って座っていることに驚いたり、指の動き、ボウイングのお揃いっぷりが美しすぎたり。ティンパニの正確でドラマチックな叩きっぷりに感激したり。目でも楽しいオーケストラ、なのです。

 

コバケンさんの本にもありましたが、オーケストラを構成する皆さんは、一人一人が「すごい人」なんですよね。それらの音がひとつになる瞬間、すごくないわけがないよね。そして監督の采配によってサッカーチームもプレースタイルや選手が変わるように、オーケストラもきっと、指揮者によって全く違う演奏になるんだろうなぁ。

 

そんな、当たり前と言えば当たり前のことに改めて気づかされた本日の東京芸術劇場。やはり、身近にコンサートがあるのなら、足を運ぶのがいいね。一つのステージで、これだけのことを感じられるのだから。オーケストラのチカラ、音楽のチカラによって私の中のエネルギー、これでまたずいぶんチャージされました。音楽に感謝!ベートーヴェンに感謝、コバケンさんと読響に感謝!そして、この音楽に導いてくれたきっかけである、有明にも感謝です…。

 

アフターで夫と入った秋田・横手の稲庭うどんのお店では、興奮冷めやらぬままにそれぞれの感想を語り合い、とても楽しい時間でした。

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「バイオリンの人たち、すごく近い距離間で座ってるよね」

「俺この前のコンサートでは、バイオリンの人は左手に指輪してないってこと気づいたんだけど、今回はそこは見てなかったなぁ」

「コバケンさん、バイオリンのソリストの演奏の時、立ったままずっと目をつぶって世界に入って聞き入っていたんだよ。よく目つぶっててフラフラしないなーって思って見てたw」

「本に、時々演奏中に叫ぶって書いてあったけど、今日も本当に叫んだよな!運命の第4楽章の盛り上がるとき」

「えー私そこのとこは見てないわ、オペラグラスでティンパニ見てたかも。見逃したー」

「指揮台に譜面台がなくて、ほんとに手ぶらみたいに入ってきてびっくりしたねー。ほんとに暗譜で振るんだね」

「今度は佐渡裕とかの指揮も見てみたいなぁ」

…そんな話をしてました(笑)

 

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雪が降り始めた池袋の街を横目に、ぬくぬくと秋田のワイン(大森ワイン。初めて聞いたけど、秋田産リースリングの白で、爽やかな酸味のスッキリ系でした。)を1杯だけいただき、音楽のひとときをしめくくりました。こういう時間が何よりも好きかも♪