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横浜外国人墓地に咲く、不思議な2色の梅「思いのまま」とえの木てい散歩

 

季節はすっかり梅から桜へと移行しておりますが、今年の横浜の梅の終焉としてもう一つだけ、梅ネタにお付き合い下さい。

 

梅のお花をいろいろ調べているうちに、1つの枝から白とピンクの色違いの花が咲く不思議な「咲き分け品種」と言うものがあるのを知った。

 

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それは海好きの私としてはぜひ見てみたい!と思ったし、その品種の名前が「思いのままに」と言う洒落た名前であることも気に入った。で、思いのままにについて調べていると、なんとなんと、わたしの身近なお散歩コースである横浜・元町の外国人墓地にその梅の木が1本あると言う情報をつかんだ。

 

時々愛読している「はまれぽ」と言う横浜のウラ情報的なマニアック情報を丁寧な取材で詳しく書いている面白いサイトがあるのだが、そこに、とある鉄道技師のイギリス人夫妻の悲話としてあの梅の花が紹介されていた。日本で初めての鉄道建設のためにイギリスから招聘された若きエドモンド・モレルさんは、20代後半という若さで団長として同じイギリス人技師たちをまとめ、横浜・新橋間の鉄道敷設に文字通り尽力された方だそうだ。横浜駅の建設に関してもすごく頑張って働かれたそうなんだけど、おそらくオーバーワークがたたって、肝心の横浜駅の完成を見ずして、なんと29歳で急死されたと言う…。そしてたいそう仲睦まじいご夫婦として知られていたそうなのだが、なんとエドモンドさんが亡くなったその12時間後に最愛の妻も亡くなったんだとか…。

 

奥様の死因は明らかではないけれども、夫妻は同じお墓に葬られ、なぜかお墓の脇には2つの色が咲き乱れる不思議な梅の木があった。人々はそれを「連理の梅」と呼んで不思議がったそうで。

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なお、連理の意味はわたしも今回調べて初めて知りました。ウィキペディアによりますと、「2本の樹木の枝、あるいは1本の樹木の一旦分かれた枝が癒着結合したもの。自然界においては少なからず見られるが、一つの枝が他の枝と連なって理(木目)が通じた様が吉兆とされ、「縁結び」「夫婦和合」などの象徴として信仰の対象ともなっている。」だそうです。なるほど。



後世、そのことにちなんでモレルさんのお墓の隣に「思いのまま」という咲き分け品種の梅が植えられたとのことだった。なんとも不思議で切ないストーリー…。白はご主人、ピンクは奥様を表して咲いているのかな、その梅は。仲良く一つの枝にね。


そう。その梅は今もあるんだそうだ。すでに3月も上旬、梅の最盛期からは少し時間が経ってしまったけれども、まだギリギリ花を見ることが出来るかも!

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実はこの外人墓地、いつでも見られるわけではなかった。平日のお散歩で行ってみると、入り口の資料館には入れたけれど、墓地内は主に週末のみ一般公開される日もある、という状況ということがわかった。その日は資料館だけ見て、それでも結構満足して帰ったのだけれども、やはり梅があるうちにまたすぐ来ないと!ということで土曜日にリベンジに。

 

入り口では管理団体のおじさまたちが道行く人に見学を呼び込んでいるほどの熱心さであった。私たち夫婦も200円払って、ついに中に入ることができた。今回は夫も一緒だったから、はじめての夫のためにまた資料館にも入った。

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この地に眠る外国人の功績について写真入りで詳しく紹介されていて、とても興味深いのでぜひ入ってみることをお勧めしたい。建物の窓も素敵だし、ステンドグラスも美しいので、心落ち着くよ。

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資料によると、鉄道関係の人やキリスト教関係、そしてこの地域に多く見られるカトリック系の私立学校…例えばフェリスとか横浜共立とかそういった名門校の創設者である先生方のお墓などもあるらしい。

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さて早速墓地の中に入ってみると、まさにドラキュラとかの映画やハリーポッターホーンテッドマンション的な西洋のお墓がたくさん並んでいる。とりわけ偉大な功績を残した人のところには、パネルで簡単に紹介されているので分かりやすいし、案内図も入り口で配られるのでそれに沿っていけば迷うこともない。墓石の形もいろいろで、フリーメイソンのものとかユダヤ教とかギリシャ正教とか、ときには中華風のものや仏教のものも。というのは、この墓地は宗派は関係なくとにかく外国籍であること、そして日本に住んでいたこと、ということが条件のようだった。つまり私はどう頑張っても日本国籍のみなので、ここには入れないわけで。

 

エドモンド・モレルさんのお墓は墓地入ってすぐの道をずーっと右に進んだ奥のほうにあり、墓地内でもひときわ目立っていた。

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このほかにも、フランス菓子職人ルコントさんの巨大な墓石や、日本の桜を愛しアメリカに桜を植えた女性のお墓とか、60過ぎで驚異的に日本語を習得し初めての聖書の日本語訳を作った人のお墓とか。

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こ実にいろんな方々が眠っているのだった。多くの外国人によって、ここ横浜に、そして日本に、さまざまな技術や知恵がもたらされたのだな…と、普段思いもしないようなことを改めて思い起こし、当時のご苦労に思いを馳せた次第。みなさんのおかげで、いま私たちは便利な暮らしを送らせてもらっていますよ…と手を合わせた。

 

そんなこんなで、意外にも興味深く楽しめた墓地散策。こんなに広いと思わず、元町の高台にこんなスペースがあったことに驚いたし、何より、このあたりに住んでもう7年目なのに一度も足を踏み入れたことがなかったことにもびっくり。灯台下暗し、ですな。

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帰り道、元町散策の休憩スポットの定番といえば!の喫茶店「えの木てい」にてケーキセットをいただいた。アンティークな洋館をそのままお店にしていて、一瞬、自分が横浜にいることを忘れてタイムスリップした感覚になる。ほんとに。そのくらい、本物の古さがあるのだ。

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周辺の洋館は市など公的機関が管理しているそうだが、このえの木ていだけは、個人所有の洋館なんですと。珍しいんですな。

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ケーキは、狙っていたモンブランもいちごショートも品切れだったけど、人気だというレアチーズケーキはまだあったのでオーダーした。ドリンクは、ダージリンファーストフラッシュが期間限定で出ていていかにも美味しそうだったのでそれにしたら、実際とても美味しかった。ティーポットでの蒸らしのタイミングも絶妙なのか、とても薫り高く美味しく入ってる紅茶だったので大満足!素敵なだけじゃない、味も良い。これとてもポイント高いよね。

 

今年最後の横浜梅散歩は、こんなふうに締めくくり。また来年の梅も楽しみにしつつ、次は桜の開花を待ちたいと思います。

 

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