日本語教師研修会inサルヴァドール
2日間に渡って行われた「2011年度東北伯日本語教師研修会」に参加してきました。
私は日本語教師を名乗るほど経験も知識もないけれど、曲がりなりにも一応プロフェッソーラ・ジ・ジャポネースとして活動しているわけですから、ここはいっちょ、プロ意識を持って!と、自らを奮い立たせて…(というほど大それた動機でもないのですが・笑)
このブログでも何度も書いている通り、当地サルバドールは本当に日本人・日系人が少なくて、まさかこんなに熱心な日本語教育が行われているとは、今回参加するまで知りませんでしたよ…
サルバドール市内のブロッタスという地区にある日本語学校で行われたんだけれども、「東北伯」つまりはブラジルのノルデスチ地方をうたうだけあって、当地はもとより、レシフェやジュアゼイロ、リモエイロ、テイシェイラ・ヂ・フレイタス、それにマッタ・ヂ・サン・ジョアンから日本語の先生たちが大集合していた。その数は20名を超えていた。すごいよね!
そして、日本からJICAのシニア・ボランティアとして赴任されたばかりのM先生も今回初参加。初めてのブラジル、初めての研修会なのに、素晴らしい仕切りとアドバイスで会をまとめ…。もう何から何までびっくりですよ、新人教師の私としましては。
ブロッタスの日本語学校の存在は知っていたけれども、今回のように深く関わったことは今までなかった。日本語学校が関わるイベントには参加していたけれど、今回ほど主体的に関わる機会は今までなかった。私の知らなかった世界がそこにはあったのだ…。
ここでは日系2世、3世の方々が中心となって、日本語学校を運営している。それはブラジル国内どこでもそうなんだろうけど、町を歩いてもほとんど日系に出会うことのないこの町で、ここにこうしてしっかりと日本文化の発信地が存在していること…。改めてそれを目の当たりにすると、感動すら覚える。だってねぇ、日本語が通じる店やレストランがほぼ皆無に近いこの町で、日系の皆さんがこれだけ頑張って学校運営されているって。すごいことじゃないですか?
驚くことに、生徒数は90人ほどもいるんだそうだ。4歳から成人まで。もちろんすべてが日系ではなく、非日系の割合はサンパウロあたりと比べると断然多いんだろう。知らなかったなぁ。そんなに日本語を学ぶ人がこの町にいるなんて!私のところに来ている生徒さんなど、この学校以外で学ぶ人を含めると100人を軽く超えるんだね。
さて研修会では、グループごとに「日本語をどう伝えるか」をテーマに話し合って・まとめて・発表するというワークショップをしたり…
日本語の手遊び歌、切り紙、くすだま作り、川柳作りなど、教室活動に生かせる文化の実演紹介があったり。使用教材についての情報交換をしたり。年に1,2度しかこのような各校の交流がないらしく、先生方同士も活発に日本語談義をされていましたよ。
参加者の多くが、子育てが一段落した世代の日系のお母さん先生だけれども、在住期間が長い日本人女性や、子供の頃日本で暮らした経験のある若い3世の先生、日本からボランティアで来ている大学生先生もいたりして、世代もいろいろ、バックグラウンドもいろいろ。ま、いろいろなんだけど、持っている思いは共通。いかにしてブラジル人にうまく、わかりやすく日本語を教えるか…。
ノルデスチには、日系人の先生方、そして、今回は参加していないけれど、非日系ブラジル人の先生もいらっしゃる。それらはみな、いわゆる「非ネイティブ:日本語を母語としない」先生方である。だから、発音やイントネーションが日本人のようにはいかない面もある。かなり惜しいレベルの先生と、「え、その発音を生徒に伝授するのはチトまずいのでは…」というレベルの先生がいらっしゃる。そのへんの発音の問題は日本語に限らず、英語でもなんでもそうだけれども。
そのあたりを、日本人である私たちがハッキリ指摘すべきものなのか、いやそれは先生方のプライドを傷つけることにならないだろうか、発音云々の細かいことはこのさい深く考えず、文化伝承・日本語伝承という面を重視すべきであって、先生方には気持ちよく仕事をしていただくのがベストなのではないだろうか…。などなどと、短い期間ではあったけれど、いろいろと考えさせられた研修会でありました。
日本語を学ぶ目的は生徒さんによってさまざまだし、だからこそ、ニーズに合わせた指導が出来ればベストなわけで…。そのあたりを、日系・非日系、そして日本人ネイティブの先生がうまく連携してやっていけたら最強ですねぇ。これだけバックグラウンドがさまざまな先生を持つ言語って、日本語以外、ほかにあまりないんじゃないかしら。ブラジルは日系の存在が多いゆえに、日本語教育という面においても、ちょっと他の国とは違う顔を持っているんじゃないかしら。