~私の好きなもの、好きなこと、興味のあることをあれこれと綴るブログです~

悲しき大根

最近、近所のスーパー「ボンプレッソ」で、いい大根が手に入るようになった。
少し前までは、赤ちゃんの足みたいな、かよわい小さい大根ばかりだったのが、最近は小学生女子の足くらいの、そこそこ立派な大根が見られるようになった。
しかも、みずみずしさも、まずまず。ジューシーな大根サラダにはちょっと抵抗あるけど、煮込みには問題なし、というレベル。


さて、先日久々に料理気分が高まったので、いつもよりいい素材を買いに行こう!と、高級スーパーの「ペリーニ」まで足を延ばした。
ペリーニにおいてある商品はどれも単価が高いけど(アスパラ一束850円とか)、野菜はいつもきれいに陳列され、そして新鮮できれいな状態のものが多いので、買い物していて非常にいい気分になるのだ。
たまーに、もやしや生きのこ類が欲しくなると、ペリーニに行く。


そしてここにも立派な大根があった。小学生の足どころか、私の足くらいありそうな立派さである。
喜んで買って帰った。
骨付きの鶏肉と煮込んで食べようっと♪
おでんもいいけど、肉と煮込むと子供たちが喜ぶんだよね。豚バラの塊もいいね…


と、さっそく大根を半分に切ってみたら…


がーん…



この状態(涙)


見事に「す」だらけ!!!!!
そういえば、大きさの割には軽いかな…という気はした。でもペリーニで売られてる大根だし。
最近は近所の庶民派スーパーにさえいい大根が入っているんだから、天下のペリーニにおかしな大根があるわけがない。
そう信じて、迷わず、買ったのにーーーーーー。


ここまで見事にスッカラカンだと、さすがに…
味もね…
おいしいわけがない。
すでに水分がかなり奪われてる感じだし。
これを料理に使う気にはなれない。悔しいけど、即、ごみ箱行きの運命と相成った。
残念だなぁ。



大根と一緒に炊くはずだった骨付き鶏もも肉は、翌日のメニュー「鶏肉のチリンドロン煮」に使われることになった。
この楽しげなネーミングの料理は、スペイン東北部、アラゴン地方の名物郷土料理だそう。
私の大好きな料理本「辰巳良子の旬を味わう」30ページで紹介されている料理であります。
玉ねぎ、カラーピーマンと鶏肉をトマトで煮込む料理なんだけど、これ、どこかで作ったことある…
と思ったら、ちゃんと本文に書いてありました。「フランス料理にも、鶏のバスク風煮込みと呼ぶ、材料は全く等しいものがあります」との記述があった。
そうそう、東京で料理教室取材をしたとき、このメニューをやったんだったわ。懐かしい。
あのときは白ワインを使った気がするけど、このレシピはワインなしだわ。

その時のレシピが掲載されているサイトはこちら。材料、作り方、バッチリ載ってます。とてもおいしいレシピだったので、皆さんもぜひ作ってみて!!

味は、今晩食べてみてのお楽しみ…



って、大根ネタが、いつのまにかスペイン料理の話になりましたわね。


それにしてもこの本、やっぱりすごくいい本です。

辰巳芳子の旬を味わう いのちを養う家庭料理

辰巳芳子の旬を味わう いのちを養う家庭料理

料理レシピもすごくいいけれど、私が特に気に入っているのが本文。物腰がとても柔らかい文体で、ほんと、大好き。レシピ説明を超えた、心地よいエッセイなんですよ、この本。たとえばこの料理についての本文でね、


「この料理をすすめるもう一つの理由は、肉を煮込みながら、おいしいソースを自然に仕上げていく、その自然体の仕事の流れが家庭的で、手慣れて自分のものになされば、重宝なさるに違いないからです。さらに、骨付き肉の骨の滋養のソースは、子供の成長を助けます。肉そのものを食べにくい幼児でも、柔らかいご飯にソースをまぶせば、喜んで食べます。」


という一節がある。
手慣れて自分のものに「なされば」、重宝「なさるに」違いない… この言い回し。とても素敵。育ちの良い、品のいい女性なんだろうなぁ。そんな先生に、優しく厳しく手ほどきを受けている気持ちになるのよね、この本を読んでいると。


そして、辰巳先生のレシピにはいつも、「食べる人」の様子が見えてくる一文がある。可愛い2歳児が、スプーンにぎりしめて、トマトソースいりのご飯を喜んで食べている愛らしい様子が、目に浮かぶんだよなぁ〜
想像しすぎ?私?(笑)