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演劇「誰そ彼時」に思う、東京のこと、家族のこと、そして人生100年時代のこと

夏頃、驚きの情報がfbを通じて入ってきました。
放送局勤務時代の後輩で、私が報道部員として携わっていた夕方のニュースのメインキャスターを務めていた英里子ちゃんが、なんと四十路にして女優デビューを果たすと!

英里子ちゃんと言えば、

結婚退職後は良き妻・良き母の見本のように私には映っていて、
でも時々はメディアにも登場していて、
そして自分のやりたいこと、やるべきこともしっかり見据えていて
それに向かって前進している。


なかなか会えない距離に私たちはいるけれど、たまの帰省の折には時間を合わせて弾丸ランチなどをし(笑)
その思いや、考えを語り合い交換し。
英里子ちゃんが今後、どんな風に、やりたいことを形にしていくだろう…と、
ひっそりと楽しみにしているんです、私。

 

今はまだ母業がどうしてもメインにはなるけれど、
英里子ちゃんはいつかまた表舞台で輝く人だと思っていました。

 

そんな彼女の女優デビューの話。そうか、ついにこの時が来たのね!
しかし、こう来るか!女優と来たか!と。その意外性には驚きましたが。
そこに至るストーリーを聞いて、至極納得しました。
(そのストーリーの詳細はまた別のところででも)

 

そして2月の公演が迫り、
行きたいけどやっぱり無理だよね~週末はキャリコンの学校が入っちゃってるしね…
とカレンダーを見ると、その週は学校のない週だったよ!
最初は遠くから応援するだけにしようと思っていたけれど、行けるじゃんその日!とわかり。
すぐに家族を説得し(単身で札幌に行くにあたり、息子たちのサポートを仙台の夫に任せないと)、快諾を得て、飛行機を押さえ。
風連の両親も誘い、ホテルを予約。
そして雪まつりを堪能し、舞台へと向かったのでした。

 

舞台はJR琴似駅直結の「コンカリーニョ」。いい名前の施設ですね。
これはスペイン語でcon carino。ポルトガル語でも同じ表現あります。com carinho。
カリーニョは、愛おしいとか愛情とか。コンはwithの意味ですから、愛をこめてという意味になります。

 

そんな素敵な舞台での演劇、タイトルは「誰そ彼時(たそかれどき)」

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脚本・監督そして主演を務めるのは武田晋さん。晋さんは私が放送局勤務時代、札幌で活動されていたから、局ですれ違ったことがあるかも?くらいの関係ですが、晋さんのお父様は身近な存在でした。
当時の社長だったんですよね。

 

晋さんの舞台は数年前に東京で観劇したことがあって、それもすごく良かったんですよね。あったかくて、人情味があって。
だからこの演目もとても楽しみにしていました。英里子ちゃんが出るからというだけでなく、晋さんが手掛ける舞台と言う意味でも。

 

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ストーリーは、
幼い頃母を亡くし、父と折り合いがつかず札幌から東京に出てきた娘を軸に進みます。
売れない劇団員として東京で過ごす中、
札幌に残してきた父が認知症になったと呼び戻され、
そこから紐解かれてゆく、過去の家族の想い出…

夢を追いかけて東京へ出てきた若者たちの想いあり、
そこで挫折してゆく仲間、
それを見送る切なさと辛さ。

家族を残して急に逝ってしまった母の、やりきれない気持ち。
残された父の、これまたやりきれない気持ち。

父の本心を知り、父とまた向き合いたいと思った娘。
でももう父は、自分のことを認識できなくなってしまっている…
切ないなぁ。

 

登場する人々の想いが、少しずつ自分の想いと重なり、
それは私も北海道から東京に出てきた組だし、
東京という街のそういうところ、わかる気がするから。


それに、親の認知症に向き合う日が来るかも知れないっていうことも、
改めて気付かされたし。

 

でも一番心に響いたのは、英里子ちゃん演じる「かっか」
つまり、早逝したお母さんが天国への階段を上るシーンのセリフたち。
亡くなっていく人たちはみな、きっとこういうメッセージを、
残された人たちに伝えたいんだろうなと。
実際にはその思いを伝えきる前に亡くなっていくのだけれど、
そのむなしさ、やりきれなさを、十分に彼女は演じてくれました。

 

亡くなった後も、娘を見守り、天国からエールを送ってくれる。
そのセリフもまた、良かった。
こんな風に、亡くなった人たちは、私たちを見守ってくれているんだな…と。
十分にイメージできるシーンでした。

 

いやぁ、正直、こんなに英里子ちゃんが重要な役を任せられているとは思わなかったですよ!(失礼)
完全にキーマンでした。
そしてそれを演じきっていた。すごいな。


役柄が、リアルな彼女とリンクする部分も多くて、
見ていてとても不思議な感覚に陥る瞬間も多かったのだけれど。
あっぱれ、えりちゃん! ほんとその一言に尽きます。

 

前置きが長くなりましたが(ええ、ここまでが前置きですよ)、
この舞台を通して私が一番感じていることは、

人生100年時代、50歳はまだ半分ですよ!ということ。

 

40半ばで女優になることを決意し、
妻業も母業もやりくりしながら稽古に入り、本番を迎えやりきること。
これは相当な覚悟がないとできないですよ。
でもそれをやりきった彼女を見ていると、
そしてやりきって充実感・達成感にあふれて本当に生き生きとした彼女を見ていると、
人生まだまだ!やらなきゃ損!って思うんです。

 

そして、脚本・監督・俳優の武田晋さん。
50歳なんですね、ちょうど。
晋さんはなんと、この舞台を札幌最後のステージとし、
今後は東京に活動の拠点を移されるんだそうです。

50歳からの新しい出発を東京で!これまた素晴らしい決断ですよね。
これこそ、人生100年時代をまさに生きていると。そんな風に思うんです。

 

舞台とか、俳優さんの仕事の醍醐味って、そこだよなぁと。
見ている人の心を動かし、
夢や希望や勇気を与えたりする仕事。
いいですよね。

 

私は今回、心を動かされました。

お芝居の内容はもちろんのこと、四十路半ばにして新たな世界を切り開いた英里子ちゃん。そして50歳で東京に進出する武田晋さん。

このお二人の想い、決意。しっかり受け止めました。

 

私は女優にはなれないしならないけど(笑)

私の人生100年プラン。それぞれの100年時代を、実りあるものにしようと。

そんな想いをいただきました。ありがとう!

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