ウルバンバからピサック、そしてクスコへ
素敵なホテルに別れを告げ、クスコへと移動する日が来てしまった…
もう、ここに住みたいくらい、居心地がよかったなぁ、あの部屋。本当に名残惜しい。
さてこの日の移動は、唯一、自力ではなく旅行会社にお願いをして一台のプライベートバンを予約していました。というのは、まっすぐクスコの町に入るのではなく、途中でいろいろと寄り道したかったから。一般的な交通手段ではいろいろ面倒だと思ったので、ちょっとフンパツしてプライベートバンです。
これは大変快適で、融通も利くし、とてもいい選択だったのだけれども、やはり旅行会社経由だとずいぶんお高くなるのは事実ですな。そのぶん、信頼できるドライバーだったり(でも私たちのドライバーさんはスペイン語しか話せなかったけれど)、乗り心地のいい車だったりするんだけれども。現地でわかったことだけど、ウルバンバの町にもクスコに向かう貸切タクシーはいくつもあって、それは私たちが旅行会社に払った価格の三分の一くらいでした。
さて、この日の長い一日の始まりは、まずホテルを出てすぐのところにあった陶芸工房「Seminario」へ。まさかこんな近くにあるとは!ってくらい徒歩でもすぐの場所にあり、しかも、まさかこんなに充実した施設とは!ってくらい、いろいろと楽しめる場所でありました。
ペルー北部出身の陶芸家、セミナリオ氏のアトリエ兼ショップになっているこのお店は、観光バスでお客さんが乗り付けるほどの人気スポット。本当は予約が必要だったのかもしれないけど、私たち家族を1グループとみなし、すぐに一人アテンドのお兄さんがついてくれました。最初は工房のあらましなどをビデオ映像で視聴し、館内の見学へと進みます。
1階には土作りコーナー、陶器を乾かすコーナーなどがあり、なんとなんと、敷地内にはリャマなどの動物もいましたよ…。
2階では、女性たちが細い筆を走らせながら、陶器にカラフルな絵を付けていました。素朴なテラコッタカラーの陶器に合う、微妙なパステルトーンの絵の具がとても可愛い♪
そしてなんと、オーナーでありアーティストでもあるセミナリオ氏ご本人のアトリエにも通され、ご対面。味のある素敵なおじさま。日本の陶芸家や建築家(かなり有名な人の名前を挙げていらしたけど、ど忘れ)との交流もおありだそうで、生き生きと日本についての話題を語ってくださいました。
最後にはショップでお買い物なんだけど、どれもこれも可愛くて目移りしまくり。初日にリマで見たチャンカイ遺跡の可愛い土器顔がずらりと並んだ壁飾りがかなり可愛くて欲しかったんだけど、大きくて高いので断念。まだ旅半ばだしねぇ。ここはコーヒーカップ2客と小さな壁掛けで我慢しておきました。
思いがけず時間をかけてしまったアトリエめぐり。この先はピッチを上げて進みましょう〜。
ということで、車で一路、ピサックの村へ。
ここでは、曜日限定(日曜と火曜)で開かれる市場が有名。この日は火曜日、もちろんそれを狙って日程を組みましたよ♪
着いてみると、なんというかそこは、お土産・民芸品のテントがずらりと並ぶ、巨大民芸品市場といった風情。地元の人の市場での買物の様子を垣間見る…という感じではないのねぇ。
一部、ジャガイモ売り(これがまたバラエティ豊かな品種だらけで面白いのだけれど)や豆売り、野菜売りの露店があったけれど、本当に一部だけ。あれだって観光客向けだよね?って感じのラインナップです。ま、全くゼロよりはいいけどねぇ。もっと普通の、サンパウロのフェイラみたいなのをイメージしてたんだけどなぁ。あまりに観光客向けすぎて、ちょっとがっかり。
ところどころに出没する、民族衣装のおばちゃんや子供たち。もれなくチップを求めてくる(しかも具体的に金額を述べる、確か1回1ソル=約30円)。
頭に生花を飾り、ヤギの赤ちゃんを抱いた姉妹のいでたちがあまりにも可愛くて、我慢できず撮影…。
妹の方はあまりヤル気がなく、お姉ちゃんに「ほら、笑って」と促されてのショットであります(苦笑)
こんなに観光地化されてしまったピサック市場ですが、ここまでほとんどお土産屋さんめぐりをしていなかった私には絶好の買い物タイム。シルバーにラピスラズリが入ったピアスとか(右が月、左が太陽のデザインで超かわいい)を購入し、大満足。そこのシルバー屋さんは、重量で値段を決めるタイプ。もっと欲しかったけど、買い物はやり始めるときりがないのでね…。ニット関連商品も可愛すぎて困る〜
ちなみにサッカー馬鹿さんたちは、地元ペルーのサッカーチームのユニフォームをゲットして大喜び。どこまでもサッカーなやつら…。
この時点でもう時計は正午を指していたんだけど、次の目的地、ピサックの遺跡に行かねば!お昼ごはんはその後でいいよね!と軽く考えたのが過ちの始まり…。
ピサックは市場めぐりが人気だけど、実は遺跡もあるんですよ。
市場と遺跡を両方巡れるツアーはあまりないので、両方行きたい人はプライベートツアーを組むしかない、とガイドブックには書いてある…
で、私たちはプライベートカーだからね。両方行くしかないでしょ。
と、遺跡に対する予備知識ほぼゼロ(だって日本語の資料がほとんどなかったんだもん)で向かったのであります。
そしたらもう。これがまた。すごい遺跡だったのさ…。
車でぐんぐん高いところに上り、そこからいよいよ遺跡歩きを始めるわけだけど、なんか、この遺跡、巨大じゃないですか????
っていうか、あんなに上に人が!
そして、あんな下のほうにも人が!!!
一体どうなってるのだ、この遺跡は?????
とにかくスケールが大きそうだけど、ここまで来たからには、はい、上りますよ。頑張りますよ。
ペルーではお約束の、柵のない崖っぷちの山道をずんずん登り…
途中、インカの遺跡には必ず登場する石の門を何度かくぐり…
少し歩いては遺跡があり、さらに上っては次の遺跡が現れる。なんだかそんな繰り返し。マチュピチュみたいに、一箇所で完結してないのよね。山のあちこちに、少しずつ石組みがあるのね。だからこそ、頑張って歩かなければいけないのだ。
もうだいぶ見たよね、もういいよね。帰り道へ向かおう。
お腹もペコペコ、山歩きで足もヘトヘトな私たちは、近くにいたガイド風の人に帰り道を聞いた。ここから近い帰り道ルートはどこ??って。
で、言われたとおりに進んでみた。ゴールには私たちのバンがあるはず。駐車場があるはず…
っと、なんだか最初の場所とは違うところなんですけど、ここ。
車、全然いないし。
よくよく見渡すと、私たちがいる場所のはるか上のほうに、駐車場らしき場所が見えるよ…。
あそこだ。あそこに私たちのバンがあるはずだ…。
現地点から駐車場まで、高低差、軽く50メートルはありそうな感じ…
もうこれ以上登れないよ〜
勘弁してよ〜
バンよ、ここまで降りてきてよ〜
携帯でも持ってれば、ドライバーさんに連絡もできるものを。大声で叫んでも、声は上には届かない。もう、登るしかない(涙)
だるい足に鞭打って、家族4人、上に向かう小道を登りましたよ。とほほだ。とほほすぎる…。
(ちなみに、私たちがたどり着いた場所と上部は、車が通る道でつながっていて、時々、下が集合地点というグループもいる、らしい。)
ということで。
ピサック遺跡を目指す方は、現地でガイドさんを頼むことをオススメします。そして、かなり険しい山歩きなので、体力・脚力に自身がある方にオススメしたいと思います。
もしかしてここを歩けたってことは、マチュピチュを見下ろす山・ワイナピチュにも登れたかも…と、ピサックを降りてふと思ったのでありました。手すりがない山道、下は崖っていう意味では、ピサックもかなりコワイからね〜
子供たち、よく頑張りました!
かれこれ2時間以上、遺跡めぐり(というか山歩き)をしていたので、もうお腹の減り具合は最高潮。ドライバーさんに「どう?遺跡、良かった?」と聞かれたけど、私たちにもう笑顔を作る余裕もなく(苦笑)力なくうなずくのみ。とにかく、何でもいいので何か食べられるところへ、ここから一番近いところでいいのでお願い!と懇願した次第。もう3時だからねぇ、こんな半端な時間に開いてる店なんてあるのかな〜と不安を抱きつつも。
そしたら、ありましたありました。さすが世界の観光地ペルーです。
普通に料理を提供してくれるちゃんとしたレストランが、遺跡から町へ戻る途中にありました。ビバ!
料理がくるまでの間、子供たちはドライバーさんを巻き込んでトランプ遊び。単なるババ抜きなんですけどね、3人で大笑いしてましたよ。ほんと、あの子たちって、遊べるなら言語は関係なし!を常に貫き通してますな…
あ、コイのポル語なまりのなんちゃってスペイン語は結構通じていたみたいだけれども。
ちなみに、お料理は普通に美味しかったです。女主人が英語を話せることに驚きました。さすが世界の観光地を自認する国、ペルーだわ。ブラジルも見習ってくれぃ!!!
写真は、川エビのスープ、チュペ・デ・カマロネス。川エビ独特の風味があります。
たらふく食べて、元気復活し、一路クスコへ…。
っと、空模様が怪しくなってきましたぜ。これはついに雨ですかね。
雨季の本領発揮がついにやって来ましたかね。
次はクスコの町に程近いプカ・プカラなどの遺跡に寄る予定だったのだけれど、ドライバーさんは途中、ピサックを見下ろせる展望エリアとか…
いろいろとサービスで立ち寄ってくれました。
そして遺跡群が近づいてきたころ、雨が本格的になってきまして。もうこれ以上、遺跡はいいかな、っていう気分になってたんだけども。せっかくだし、一応雨季だからって雨合羽を用意してきていたし、頑張ってもう少し歩くことに。
まずは、赤い要塞と呼ばれるプカ・プカラ。そんなに赤い石には感じられなかったけど、古い年月で色が落ちちゃったのかしら。車から降りてすぐ見られる、小さくコンパクトな遺跡で楽チンでした。(すでに遺跡に対してはもうそういう見方に・笑)
その上のほうに、王様の沐浴場だったというマチャイタンボという遺跡があるのだけれど、ドライバーさんいわく、割と歩くそうなので、断念。すっかりピサックで弱りきってしまった私たち…。情けなや〜
最後は、巨石のオンパレードで知られる、サクサイワマンの遺跡へ。ここもそれほど歩かないけど、とにかく敷地自体がだだっ広い。6月の太陽の祭り・インティライミがこの広大な広場で行われるという。確かに、この巨石遺跡をバックにインカの舞踊などが見られたら、最高にムードあるだろうなぁ。
それにしても石の巨大さには驚く。今まで見たどんな遺跡のどの石よりも大きく、四角い、迫力満点の石たちが、これでもか!ってほどに連なっている。どうやったらこんなのを機械テクノロジーなしに運べるのか、本当に不思議すぎる。
少し上のほうに展望エリアがあった。それを登るのさえも大仕事になっちゃってる私たちだけど(だって雨が降ってて足場が滑るし、高度が上がってきているので空気はますます薄いし)、頑張って登りましたら…
クスコの街並みがとてもきれい!!!
疲れも吹っ飛びますね〜
もう、今日一日、大充実ですよ。朝、陶芸工房を見に行ったことが遥か昔のことのように感じるほど、いろいろ巡ったなぁ。こんなにハードに巡るつもりじゃなかったんだけどなぁ(笑)
結果的には、ここまでの行程で、一番頑張った一日になりましたわ。
クスコについて、石組みのロレト通りに面した味のあるホテル(その名もLoreto)にチェックインし、ロビーでコカ茶をいただき、シャワーを浴びて少し元気復活。クスコにはこの一晩しか滞在しないので、夜の町散策へと繰り出します。
本当はもう少し明るいうちに到着し、太陽の神殿とかを見学したかったんだけどね…。
でも、夜の街も素敵。石造りの街ってブラジルでは見たことがないから、こういう街はとても新鮮に感じる。インカの石組みの土台を残しつつ、その上に教会を建てたというこの建築物も素晴らしい。それにしてもスペイン軍め、こんな素晴らしいインカの建築物を壊して中の金を根こそぎ奪ったとは、ひどいやり方だなぁ。征服・支配ってそういうことかなぁ。
夕食はドイツ人オーナーのカフェレストランHEIDI(ハイジ)へ。日本人からの評価も高い、ナチュラル系の料理とスイーツが人気とのことなのでかなり期待していきましたら、大正解♪
自家農園でとれた野菜や乳製品がどれもクオリティの高い美味しいもので、ミルクベースの創作ドリンクがとても良かった。
お料理も、ペルーの伝統料理をベースにして、とても満足の出来る味でした。お腹がいっぱいでデザートにたどり着けなかったので、ケーキをワンカット、お持ち帰りで購入(笑)翌朝、ホテルの朝食時にいただきました。チョコが大人の味わいで絶品だった…。ブラジルにはない味だわん。
帰り道、有名な石があるという道を歩き、おお、これのことね!と発見。
私が喜んで写真撮影していると、逆方向から日本人の女の子二人組みがやってきて、やはり同じように喜んで撮影。ペルーではこんな風に、あちこちで日本人旅行客に遭遇したなぁ。
ちなみにこの石、きれいにピッタリと隣りの石に密着しているけれど、角が全部で12角もあるという点が有名たるゆえん。わかりますか???
さて、明日は早くから豪華列車に乗り、さらに高地であるチチカカ湖の町、プーノへ向かいます。