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たちつてとの「つ」の発音、誰か教えて!


これまで教えた生徒さんは(ほとんどが現在進行形だけど)、まだ15人ほどしかいない。その中で、ブラジル人の苦手な日本語発音というのは共通するものだなぁ、ということがわかった。



らりるれろ。
はひふへほ。


ら行とは行が、みなさん結構苦労されている。というのは、ローマ字でRa Ri Ru Re Roと書くと、日本人にとっては「らりるれろ」なんだけど、ブラジル人にとっては「はひふへほ」の発音になるのね。ポルトガル語表記のきまりで、そうなっているから。



そして同様にHa Hi Fu He Hoは「はひふへほ」だけど、ポルトガル語表記では最初のHは発音しないので、「あいふえお」と読んでしまう。「ふ」だけは日本語ローマ字が不規則にFになっているから、幸い?ポルトガル語の「ふ」の音と同じ書き方でOKである。



そのへんの違いを覚えてしまうともう大丈夫なんだけれども…



先日、新しい生徒さん(仮名:エリさん、前回のネタにも登場した50代近い女性)に発音を教えていたときに発見した新事実があります!


それは…


ブラジル人の中には、たちつてとの「つ」が言えない人が存在する!!!
ということ。


たとえば、月。つき。
これをエリさんが言うと、チュキ、になり、


「つ」はチュじゃなくて、ツだよと言うと、
ツス キ、と発音してしまう。


ツスじゃなくて、ツだよ。
ツ、ツ、ツ…
何度もお手本をやってみせるけど、どうにも真似することが出来ない。



こんな時、私は、ポルトガル語の発音の中にある、日本語に近い発音を探して、真似させる。
たとえば、さしすせその「す」がちょっとおかしいとき。
スはsuco(スッコ、ポル語のジュースのこと)のsuと同じだよ、と言えば、納得してくれることが多い。



で、ツ のつくポル語を探して探して探しまくった…
が。
ない!!!!!


ないんですよ、ほんとに。
Tucano、トゥカーノ というのはある。
Tatu タトゥ というのもある。
でも、tuはツじゃなくて、トゥなんですよ。



あ、日本語が世界語になったもののひとつ、津波がある。あれはポル語でもTsunami。ツナミだ。
ツナミをエリさんに言ってもらう…と。



チスナーミ。



…だめだ。やっぱり、ツがチスになっている…。



他にないだろうか、と探したら、あった。
Blitz。ブリッツ。駐車違反なんかで罰金を取られること。
彼女は交通機関に務めている。駐車違反関連なら得意だろう。
ブリッツ。


言えてる!!!


その、最後のツを、最初に言うんだよ。ツ・ナ・ミ、だよ!



チス・ナ・ミ。



だめか…。



お互い困り果ててしまい、それから先になかなか進めなかった。
でも、進むしか、ない。
「じゃあ、家でも練習してくださいね。ツ、ですよ、ツ」と念押しして、彼女も苦笑いしながらうなずいて、ツの練習はおしまい。



ツが言えないと、結構キビシイ。
必須表現の一つ「失礼します」とか「いつから いつまでですか?」とか、「ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ」とか。つ、使いまくりなんですよ。初級のうちから、もう。


他の生徒さんたちは、最初必ず「チュ」になってしまうものの、直したらすぐに「ツ」を言えるようになる。要するに、耳で聞いた音をすぐに自分の口で真似して言えるということなんだけども。


エリさんだけなんだよなぁ、真似ができない生徒さん…
やはり50代近いという年齢がそうさせているとしか思えない…。



後日、他の生徒さんたちにお願いしてみた。
「自分のお父さんやお母さん、友達にも、「ツキ」って言わせてみて。すぐに真似できたかどうか、後で教えて!」と。



そしたら、ある10代後半の女の子。
両親はすぐにツキって言えたけど、おばあちゃんだけがダメだった。何度やってもツスキになってた、って…。
そうなのか…。



難なく「ツ」を言えるほかの生徒さんにも相談してみた。どういうふうに説明したら彼女に伝わるだろうか、と。同じブラジル人ならではの気づきがあるかも知れない、と。
でも、芳しい答えは帰ってこなかった。
なんかわからないけど自分はツって言えるよなぁ、なんでだろう。って感じなのかな。



その国の言語にはない発音を真似するのは、どの民族にとっても簡単なことではない、と思う。
たとえば私たち日本人には、BとVの違いや、RとLの違いがわかりにくい。VもRもLも、日本語の音にはないからね〜。
英語のthもそうだよね。This のTh、舌先を上の歯と下の歯で挟んで音を出す…なーんて、日本語にはないもの。



でも、それらが出来なくても、私たちは「ツ」が言えるではないか!
5歳のアレックスだって、立派に「ツキ」と発音できているではないか!
いいぞ、日本人!!(笑)



イヴェッチとイベッチと言ってブラジル人に笑われたり、リヴロをリブロと言って笑われたりしても、くよくよしない!
だって私たち、ツキって言えるもん!!!


…って、違うか(笑)



とにもかくにも、私はエリさんになんとか「ツ」の発音をマスターしてもらいたいのです。



日本語教師の先輩方… 何かいい教え方があれば、ぜひぜひぜひ!ご教授下さいませ…。(切実)