呆れてものが言えない番号札制度
大雨の中、昨日は頑張って某公的機関に行ってきた。
サルヴァドール市が管轄している機関なんだけれども。これがモロ旧市街のど真ん中にあって、信じられないくらいオソマツな建物の中にあるんだけれども…。(しかも看板も何もなし。みんな迷うよっ!)
ま、それはいいとして。
中に入るとすぐに、
「まずは3番窓口で番号札をお取りください」と書いてある張り紙があった。
うん、番号札制度はよくあることだ。郵便局でも銀行でもショッピングモールのフードコートでも、senha(セーニャ)という番号を一人一つずつ機械から取り出し(ボタンを押すと番号札の紙が出てくる)、電光掲示板で自分の番が表示されるまで待つ、というしくみだ。
で、3番窓口に行ってみたら…
そこにあったのは、まさに、「番号札」であった。
番号札を機械が自動的にはきだすのではなく、ガムの包み紙程度のサイズの細長い紙に番号が書いてあるだけの、「紙の札」が小箱に入って100枚近く置いてあるのだった。
うーん、なんか、これ、怪しいなぁ…
こんな紙で大丈夫なのかなぁ…。
一目見ただけで怪しさ満点のその番号札だが、ま、取るしかないよねぇ。みなさんそれを手に順番待ちしているんだし。
ということで、一番前に置いてあった札を取った。
「A 005」であった。
そのとき待合室で順番待ちをしていた人の数は、ざっと15人。私は16番目に呼ばれるんだろうなぁ、という具合だ。
そのとき電光掲示板に表示されていた番号は「B 094」。
なるほど、Bの1から100まで行ったら、次はAの1というふうに、Aの若い番号から再開されるんだな、と私は理解した。
と、そのころ、私の少し先に到着したおじさんが、何やら騒ぎ始めた。番号制度の怪しさに気付いてしまったらしい。
「ぼくの番号はA 012なんだけど、今は94番。どういうこと???」
ん?おじさん、私より先に来てるんだから、私より若い番号を持ってないとおかしいでしょ?
私は5番、おじさん12番。
これはおかしい。
周りの人はそのおじさんの叫びを聞いて、「ひととおり100まで行ったら、次はまた1から再開するってことだよ」と説明しだす。
それはいいとして、問題はおじさんの番号だよ?
続いて別の人がまた違う点に気付いた。おじさんの直前に来たと思われる女性だ。
「私は02なんだけど、あなたが12って、おかしいわねぇ?私のすぐ後だったでしょ?03であるべきなんじゃないの?」
と、まぁ、混乱が始まり…
おじさんは小箱に戻り、012の札を戻し、別の番号を取り直したんだけれども。(でもそれは03ではなかった)
そもそも窓口は6つあるのに、これだけ人が待っているにもかかわらず2つしか稼働していない。しかもそのうち一つは新人君が座っていて、脇でベテランおばさんがパソコンの使い方を指導している…
それじゃ仕事にならんぜよ…。
指導は窓口終了後にやってよ…。
私より先に来ている人は、もう相当待たされているわけで。
それだけでストレス。
窓口をみんなで凝視しつつ、早く早くとプレッシャーをかけている。そんな中で起こった、おじさんの番号騒動。
と、やっと窓口がひとつ開いたと思ったら、番号札を持たない、今ここに着いたばかりのおじちゃんがスーッと窓口に座り込んだ。
一同、目が点…
「あのひと、どう見ても優先対象じゃないよねぇ。」(ブラジルの優先窓口制度は徹底していて、お年寄り、体の不自由な人、妊婦、乳幼児連れは行列知らずのフリーパス状態)
「若すぎるでしょ」
「体が不自由にも見えないじゃない」
「なんなの、あれ」
「どうして窓口も彼を通しちゃうのかしら」
などと囁き合う。
しかしさすがに、彼の行動に対して直接彼に文句を言いだす人はいない。このへん、ブラジル人だなぁと思う…。
(ブラジル人ってあまり文句を言わない人種だと思う、私。)
それでも我慢が出来なくなったおばさんが一人いて、この怪しい番号札制度に対して文句を言いに行った。しかし文句の相手は窓口の係員にではなく、警備員に(笑)
彼に言ってもしょうがないでしょうよ…。
かれこれ45分ほど待っただろうか。カメの歩みで処理される窓口業務である。
ついに私の番号が呼ばれた。
機械は正確に、94、95、96…100、01、02、03、04と番号を刻み、正統的に私の番号、05に辿り着いた。
がっ。
私より先に来ている人が、目の前にまだ7〜8人いるんですけど…。
なぜか私の番号が出ちゃったんですけど…。
さすがに心苦しいんですけど…。
でも私が持っている札が05なんですよ。すいませんね。
ってなわけで、怪しげな制度を有効活用して、いや、私が自ら有効活用するべく動いたわけではないんだけど、図らずも順番をゴボウ抜きして、窓口に辿り着いた私であった。
しかし、さすがにこれには待ち人たちは黙っていなかった。
客A「彼女は明らかに俺たちの後に入ってきたのに!なんで俺たちより先に呼ばれるの!!!」
係員「だって彼女が05番の札を持ってますから」
客A「そもそも、札の順番がおかしいじゃないか!!」
客B「さっきも、100番が2枚あったじゃないか!!!」
…と、まぁ、普通、こうやって怒るよね。
きっと、毎日、こういう攻防が繰り返されているんだろうね、ここ。
文句言われても言われても、全然、改善する気がないんだろうなぁ、窓口の人たち。
さて、ここまで言われてやっと、別の係員(若いお姉ちゃん)が奥から出てきて、小箱に入ったガムの包み紙程度の大きさの番号札の紙(しかも厚紙でもなんでもない、吹けば飛びそうな普通の紙質だよ)を取り出し、ご丁寧に順番を若い順から揃え始めた。
っていうか、その作業、毎日の基本でしょ!!!
っていうか、そんな怪しい制度を導入するくらいなら、普通に行列を作らせて、先に来た人順に窓口に進ませればいいだけの話じゃ???
待合室の椅子は、たかだか20くらいしかないのよ。
椅子に番号付けて、若い番号順に座らせて待たせればいいだけの話でしょ。
(現に、郵便局では、番号札の機械が故障中の時、そうやって客をコントロールしていたよ)
まったく、呆れるぜ。
この機関のサービスは本当に最悪らしく、お客さんたちみんながブゥブゥ言ってた。
「公務員なんて、私たちの税金からお給料をもらってるくせに!サービス精神のカケラもないんだから!!」
って、言ってた。
うーん。確かにここの職員たちだけを見ていると、そう言いたくなるのもわかる…。すごく上から目線だったもんなぁ、常に。警備員に至るまで。
で、私の手続きは滞りなく完了。
みんなの視線を背中で一身に受けながら、そそくさと席を立ち、大雨の中、帰途につきました…。
あ〜、疲れたわ…。