お見送り
春は出会いと別れの季節、っていうのは日本だけのものだと思っていたけれど。
ここサルヴァドールでも、別れの季節なのであります。
今日、この街に暮らす数少ない日本人家族の一つ、Kファミリーが日本へ本帰国されました。
まずはサンパウロに行って、それから成田行きのJALに乗るんだけれども。
サルバドールを経つのが今日の午前の便。
家族ぐるみで仲良くしてもらっていたし、私たちの赴任が決まってから、メールで、電話で、本当にいろいろと細かいことまで助けてくれた。
子どもたちの学校も同じで、学年も一つしか違わなくて、一緒にサッカーを習っていたりして、仲良しだった。
何より、私にとっては、日本語でおしゃべりできる数少ない気の合う日本人の友達。
気の合う、ってところがポイントでね。
いくら数少ない日本人であっても、人間、気の合う合わないってものがあるでしょ。それがね、ラッキーなことに、彼女とはとても話が合うし、ウマも合っていた。
ほとんど同級生だし、同じく男の子の母親であったり、何より彼女にはチャレンジ精神とハングリー精神があって。そういうところが大好きだった。
我が家が引っ越してからの付き合いだから、いっしょに過ごしたのはわずか1年。
これからもっと一緒にいろんな習い事したり、ポルトガル語やったり、ここバイーアで新しいことに挑戦しようね〜って言ってたのに。
あれよあれよと言う間に、お別れの日が来ちゃった。
引っ越しのお手伝いに行ったり、一緒に最後のソトメシしたりしてたけど、なんか全然実感がわかなくて。
フライトの当日になって、空港で一家の姿を迎えたその時も、まだ彼女たちがこの街からいなくなることを実感できなかった。
だけどやっぱり、泣いちゃったよ。
搭乗口に入る直前、ブラジル式に抱き合って。まず双子ちゃんの小さい肩を抱いて、ぐっと来た。
3年前、まだ日本人家族が全然いない中に初めて着任し、家の手続きも学校とのやりとりもすべて日本人のパイオニアのようにやって来てくれた。
そのころの苦労や不安と言ったら、想像をはるかに超えるものがあると思う。
3歳で来た二人が、今は6歳になり。
英語もポルトガル語も上手になり、大きく大きく成長した二人の肩を抱いてると、もう涙が出ちゃったよ。
バイーアでよく頑張ったね。
そして彼女とのお別れ。
泣かない泣かないと思ってたのに、ダメだった〜。空港での見送りはダメだね〜。
もっと早く会えたら良かったのにね、ってお互い同じことを思っていた。
でも、出会えたことに感謝だよね。一緒に過ごした時間は短くても、これから先があるもの。
出会いがなければ、このつながりもないわけで。
だけどやっぱり、さみしいなぁ。
これを書きながらもまた泣いている私。
電話してすぐに行ける距離に、気心の知れた友達がいるってこと。実際、電話してすぐ駆けつけることなんてめったになかったんだけれども、同じ街にいるということがとても大きな心の支えになっていたんだなぁ、って。
いまさらながら実感する。やっと実感してる。
今まで本当にありがとう、Achanchan!!
これから近い将来、また別の仲の良い友達がこの街を去っていく。今から想像するだけで寂しすぎるんですけど…。(だから想像しないことにする。ギリギリまで実感がないままにする!)
そして残るのは私たち家族だけになっちゃったりして…
空港で彼女たちを見送りながら、
私たちがこんな風に見送られる日が来るんだろうか、いや、来ないような気がする…(ってどういう意味?!)
そんなことを本気で思ってしまいました。
去る側もつらいけど、いつだって見送る側の方がつらいんだよ。
サルバドールの空港で、私はあと何回泣くんだろう…。